「老後2000万円問題」が話題となり、老後生活に備えた貯蓄への関心が高まっています。
しかし、老後に安心して暮らすにはいくらお金を貯めればいいのか疑問に感じている人も多いでしょう。
2024年1月19日に厚生労働省から発表された資料によると、2024年度の標準的な夫婦の年金額は23万483円となりました。
年金だけで足りない分に備え、金融資産が必要になります。
本記事では、70歳代の金融資産目標について解説します。
実際の貯蓄額も紹介しますので、老後に向けた貯蓄計画を考えるときの参考にしてください。
1. 70歳代の金融資産目標は平均3162万円
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、老後に向けた金融資産目標は全世代平均で2976万円です。
既に老後を迎えた70歳代の人は、どれほど保有しているのでしょうか。
1.1 70歳代の金融資産目標の状況
前述の世論調査(以下、同様)によると、70歳代の金融資産目標は平均3162万円です。
その分布を見ると次の通りです。
- 200万円未満:7.5%
- 200万円以上300万円未満:2.1%
- 300万円以上500万円未満:2.3%
- 500万円以上700万円未満:8.6%
- 700万円以上1000万円未満:1.9%
- 1000万円以上1500万円未満:2.9%
- 1500万円以上2000万円未満:5.1%
- 2000万円以上3000万円未満:14.2%
- 3000万円以上5000万円未満:11.4%
- 5000万円以上7000万円未満:10.3%
- 7000万円以上:7.9%
- 無回答:15.6%
割合が最も高いのは、2000万円以上3000万円未満を目標とする層です。
「老後2000万円」という数字が関心を集めた影響も考えられます。
目標が700万円未満とする回答が全体の2割を占めているのは、年金だけで生活できる人や老後も収入が見込める人が一定数いるということです。
一方、5000万円以上を目標とする人も20%近くいます。
豊かな老後生活を望む人や、長期の介護や病気を心配する人などが考えられます。
1.2 金融資産目標の中央値は2000万円
金融資産目標は平均3162万円ですが、中央値は2000万円です。
中央値とは、データを小さい順に並べたちょうど中央に位置する値のことです。
目標額が高額の人がいるため平均額が引き上げられていますが、金融資産目標は2000万円が目安と考えていいでしょう。