基本的に管理職になると、一般職よりも給与水準が高くなります。
一般職より責任が重いことに対する対価や、平均年齢が高いことにより年功序列の恩恵を受けている点などが要因です。
一方で、管理職ならではの悩みを抱える方も多く、いいことばかりではありません。
年度末を控え、今後の昇進やキャリアに悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は管理職の平均月収が高い背景や、管理職の悩みについてまとめました。
1. 役職別の平均月収(部長・課長・係長・一般)
令和4年「賃金構造基本統計調査」によると、役職別の平均月収は次の通りです。
《役職別平均給与》
- 部長職:58万6200円(平均年齢52.7歳、平均勤続年数22.1年)
- 課長職:48万6900円(平均年齢48.8歳、平均勤続年数20.5年)
- 係長職:36万9000円(平均年齢45.4歳、平均勤続年数17.8年)
- 一般職:28万1600円(平均年齢41.1歳、平均勤続年数10.4年)
一般職と管理職の賃金格差は、部長職で2.08倍、課長職で1.72倍、係長職で1.31倍です。
役職があがるごとに、一般職と比べて大きく月収が増えることがわかります。
一方で、平均の勤続期間も役職があがるごとに長くなっていきます。
たとえば部長職の平均勤続期間は22年超です。
平均的なペースでいくと、大卒の場合で50歳になる手前で部長に昇格します。
2. 管理職の給与が高い理由
多くの企業では役職が上がれば給与も高くなります。
その背景について3つの視点からまとめました。
2.1 企業経営に対する責任が大きくなるから
管理職は、経営目標を達成するうえで一般職よりも重い責任を負います。
賞与と業績の連動性が大きくなったり、経営成績の悪化により降格などのダメージを受けるケースも少なくありません。
また、人材育成に対しても責任があります。
部下の心身のケアをしながら、活躍できる社員として育てていかなければなりません。
このような、一般職よりも難易度が高い管理業務に対する対価として高い給与が支払われます。
2.2 平均年齢が高いから
役職があがると平均年齢が延びることも、管理職の平均給与が高くなる要因です。
日本では依然として、多くの企業で年功序列の賃金制度が残っています。
そのため、多くの企業で役職定年を迎える60歳代以上を除くと、賃金は年齢とともに上昇する傾向があります。
役職が高い方が平均年齢が高いため、役職手当などを除いた基本給の部分でも、一般職より高くなりやすいのです。
2.3 一部の従業員を守るルールが適用されないから
企業により規定は異なりますが、一般に管理職が属する「管理監督者」になると、原則として労働組合に加入できません。
残業の上限や残業代の支払いを規定する36協定も適用外となります。
多くの企業では、管理職には深夜残業を除く残業手当や休日手当がありません。
自分の労働時間も含めて、チームを円滑に管理することが、管理職の役割の一つとして期待されているのです。
残業をしても残業代により給与が増えることがない代わりに、もとから高い給与が支給されていると考えることもできるでしょう。