令和2年の国勢調査によると、65歳以上の5人に1人がおひとりさま世帯となっており、2005年の調査時から徐々に増加しています。

性別でみると、男性よりも女性のおひとりさまの方が多い結果となっています。

老後の生活費は、主に公的年金や貯蓄が柱となる世帯がほとんどです。

70歳代・80歳代、それ以降の年代をおひとりさまで暮らすためには、自分のお金で生活費をまかなわなければなりません。

では70歳代のおひとりさま世帯の貯蓄事情はどのようになっているのでしょうか。厚生年金や国民年金の受給額などの最新データも併せて解説していきます。

1. 70歳代「おひとりさま」世帯の貯蓄事情

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」によると、70歳代おひとりさま世帯の平均貯蓄額は1433万円で、中央値は485万円です(※)。

※貯蓄には、預貯金や生命保険・損害保険、個人年金保険、株式、債券、財形貯蓄などが含まれています。

なお、平均貯蓄額(平均値)は、貯蓄額の高い世帯が数値を引き上げていることがあり、実際の平均よりも高額になる傾向があります。

そのため、実感としての平均額を知るには中央値が適しているとされています。70歳代のおひとりさま世帯の中央値は485万円であることから、実際の平均額は500万円前後と考えられます。

では、貯蓄額ごとの割合を見ていきましょう。

  • 貯蓄なし         :28.3%
  • 100万円未満        :5.2%
  • 100万円以上200万円未満  :4.0%
  • 200万円以上300万円未満  :4.2%
  • 300万円以上400万円未満  :4.6%
  • 400万円以上500万円未満  :3.0%
  • 500万円以上700万円未満  :8.8%
  • 700万円以上1000万円未満  :4.8%
  • 1000万円以上1500万円未満:5.6%
  • 1500万円以上2000万円未満:5.8%
  • 2000万円以上3000万円未満:8.2%
  • 3000万円以上        :16.1%

3000万円以上の貯蓄がある方が16.1%いる一方で、貯蓄なしの方が28.3%いることがわかります。老後資金の準備が進んでいる方と不十分な方の差が大きく開いているようです。

貯蓄額の実際の生活への影響は、持ち家か賃貸か、借入金の有無や金額などによっても異なるため一概には言えません。しかし、まとまった出費が必要になったときに対応することが難しい方もいるでしょう。