2024年1月より非課税枠拡大・制度恒久化となった新NISA。
資産形成に関するご相談を受ける中で、特にNISAについてのご質問が増えたように感じます。
また、お客様にNISAの利用目的を聞いてみると「老後資金」と答える方が大多数です。
金融庁が「老後2000万円問題」を発表して5年近くが経過しようとしています。
以降、老後資金として「2000万円の備え」が1つの目安とされていますが、実際に2000万円の貯蓄ができている世帯はどれくらいあるのでしょうか。
今回は70歳代以上の世帯について貯蓄額や年金受給額など、老後のお金事情について考察していきたいと思います。
1. 70歳代以上「貯蓄2000万円超」の世帯は何パーセント?
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)詳細結果-(二人以上の世帯)」によると、70歳代以上の貯蓄額は次のとおりです。
1.1 70歳代以上の平均貯蓄額は2411万円
70歳代以上の平均貯蓄額は2411万円です。平均だけ見れば、多くの世帯が老後2000万円問題をクリアしているように感じられます。
しかし、平均値は極端に大きい、あるいは小さい数値に引っ張られてしまいます。
とくに貯蓄額といった世帯差が大きいと考えられるものは、平均値だけで実態を捉えづらいものです。
70歳代以上の貯蓄事情をより詳しく見るために、貯蓄額ごとの世帯割合を確認してみましょう。
1.2 70歳代以上の現在貯蓄高分布(計187万4554世帯)
- 100万円未満:14万896世帯(7.94%)
- 100万円~:6万4999世帯(3.47%)
- 200万円~:6万426世帯(3.22%)
- 300万円~:6万9205世帯(3.69%)
- 400万円~:6万2104世帯(3.31%)
- 500万円~:7万670世帯(3.77%)
- 600万円~:5万2589世帯(2.81%)
- 700万円~:4万9056世帯(2.62%)
- 800万円~:6万433世帯(3.22%)
- 900万円~:4万6408世帯(2.48%)
- 1000万円~:10万9329世帯(5.83%)
- 1200万円~:8万5755世帯(4.57%)
- 1400万円~:6万9842世帯(3.73%)
- 1600万円~:8万2145世帯(4.38%)
- 1800万円~:5万9305世帯(3.16%)
- 2000万円~:15万265世帯(8.02%)
- 2500万円~:12万1065世帯(6.46%)
- 3000万円~:17万7308世帯(9.46%)
- 4000万円~:33万4754世帯(17.86%)
貯蓄額2000万円以上を保有する世帯は78万3392世帯。70歳代以上世帯の約42%が老後2000万円問題をクリアしていることが分かりました。
すでに年金暮らしが始まっている方が多いと考えられる70歳代。貯蓄を取り崩している世帯もあるでしょう。
それでもなお、半数近い世帯が、2000万円以上の貯蓄を保有していることが分かりました。
では、貯蓄がいくらあれば安心して老後を迎えることができるのでしょうか。
その答えを見つける上で必要な要素が「年金収入」と「生活費」です。どちらも世帯ごとに異なるものですので、ここでは参考として平均額を確認しておきましょう。