1.2 国民年金は平均約5万6000円

2022年度(令和4年度)における国民年金の平均受給額は、5万6428円です。過去5年間の平均額の推移は以下の通りです。

国民年金の平均受給額は、どの年度においても5万6000円前後です。国民年金は、厚生年金と異なり加入月数で受給額が決まり、40年間(480月)保険料を払い込んだ場合は満額を受給できます。

現役時代の年収が関係しないため、男女間や都道府県間の平均額もそれほど変わりません。2022年度における男性の平均受給額は5万8798円で、女性は5万4426円となっており、その差は4000円程です。

2. 年金額を増やすためにできること

年金受給額をできるだけ増やすためにできることを3つご紹介します。ご家庭の状況や年齢により取り組めるものが限られることもありますが、できるものから始めてみてはいかがでしょうか。

2.1 国民年金や厚生年金の受給額を増額する

厚生年金と国民年金それぞれの受給額を上げるために、以下のような対策をとりましょう。

【厚生年金】

各種資料をもとにLIMO編集部作成

  • 現在、厚生年金未加入の方は加入条件を満たした勤務形態にする
  • スキルアップや転職などで収入を増やす
  • 厚生年金保険への加入期間を長くする(70歳まで加入可能)

パートやアルバイトなどでも、勤務時間や勤務日数など一定条件を満たせば社会保険へ加入できます。また、スキルアップしたりより好条件の職に転職したりすることで収入が増えれば、厚生年金受給額も増やすことが可能です。

厚生年金には70歳まで加入できるので、長く働くとその分受給額も増やせます。

【国民年金】

先にも触れたように、国民年金は保険料の納付済月数で年金額が決まります。仮に保険料の未納分がある場合は、追納して納付済月数を増やせます。ただし、追納ができるのは、追納承認月の10年以内のものに限られている点に注意が必要です。

国民年金には、「付加保険料」や「国民年金基金」制度があります。両者とも、毎月の保険料に付加保険料や掛け金を上乗せして納付することで、年金額を増やせます。

2.2 年金の「繰下げ受給」をする

厚生年金や国民年金には繰下げ受給制度があり、年金の受け取り時期を遅らせることで受給額を増やすことが可能です。年金は、原則として65歳からが受給開始となりますが、66歳から75歳までの間に繰下げることができます。

1ヵ月繰下げるごとに0.7%が増額され、5年間繰下げた場合は42%が、10年間繰下げた場合は84%も増額できます。なお、増額された年金額は一生涯変わりません。

ただし、繰下げる際には注意点もあります。受給開始時期を遅らせることで生活費が不足する場合があることや、寿命によっては生涯受給年金額が原則通り受給開始した場合よりも少額になる可能性がある点です。

繰下げ受給をする際は、デメリットについても十分に理解したうえで申請しましょう。