1.1 これまでの冬季ボーナスの推移は?
一般財団法人 労務行政研究所は、2013年から2023年までの東証プライム上場企業の年末一時金妥結額の推移を掲載しています。
10年前となる2013年の年末一時金妥結額と比較すると、2023年の年末一時金妥結額が大幅に上昇していることがわかります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年から2021年にかけては年末一時金妥結額が大幅に下がっており、74万3968円(対前年同期比 3.2%減)、2021年に71万 5553円(同1.9%減)となっています。
2022年には新型コロナウイルス感染症の影響も薄らぎ、78万6945円(同8.5%増)と大幅に増加傾向をみせ、2023年においても80万28円(1.5%増)と2年連続でプラスとなっているのがみてとれます。
現状は新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和され、企業業績が回復していることから、人材確保や定着などが年末一時金妥結額増加につながっているとうかがえます。
特に2023年においては、物価の上昇や経済状況をふまえ、企業が従業員の生活を守るために、増額の検討をした可能性が高いです。
さらに、労働組合による賃上げの要求も、年末一時金妥結額増加に影響しているとうかがえます。
2. 産業別の賞与・ボーナス額はいくら?
では最後に、産業別の冬季ボーナス額を見ていきましょう。
一般財団法人 労務行政研究所の「東証プライム上場企業の 2023年 年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」によると、東証プライム上場企業の産業別のボーナス額は下記の結果となりました。
産業別で最もボーナス額が高いのは自動車の「95万6459円」で、次いで鉄鋼の「92万5125円」となりました。
一方で、「繊維」「紙・パルプ」「ガラス・土石」「非鉄・金属」「電気機器」などは前年よりマイナスで、「紙・パルプ」においては前年から6.4%の大幅な減少を見せています。
非製造業では情報・通信の「86万4000円」がトップで、「建設」「電力」「サービス」は前年よりもマイナスですが、他の業種も増加傾向となっています。
全体の冬季ボーナス額は過去最高額となっていますが、産業別に見ると減少傾向にあるところもいくつか見られるため、一概に産業全体のボーナス額がアップしたとは言えない結果です。