4. 9割のシニアが「介護費用は自分のお金から出す予定」

ちなみに内閣府の「令和4年高齢者の健康に関する調査結果」によると、トイレなどの介護が必要となった際、約9割の人が「自分の資産から捻出する」と答えています。

とはいえ、歳を重ねると親本人がお金の管理を行うことが難しくなるケースも多いでしょう。とりわけ認知症になってしまった場合、判断能力が低下して銀行や証券会社などの口座からお金を引き出せなくなる可能性もあります。

親の資産状況を把握し、その資産を守るためには、必要に応じて家族信託や任意後見などの制度を利用していくことも視野に入れるとよさそうですね。ただしこの二つの制度は認知症になってしまう前に締結しておく必要がある点も知っておきましょう。

5. まとめにかえて

来たる2025年は「団塊の世代」がすべて75歳以上となる年。同時に、厚生労働省の推計によると、高齢者の高齢者の5人に1人が認知症の人になると見込まれている年でもあります。

「いつまでも元気なはずだった親の背中が、なんだか急に小さく見えた」というように、漠然と親の老いを感じる人もいるでしょう。また、久々に帰った実家が「汚屋敷」状態だったり、親の運転する車に不審な傷がついていたり、といった明らかな異常から親の認知面の低下を察知する人もいるはずです。

ちなみに、株式会社LIFULL seniorの調査リリースによると、老人ホームを探す人が1年間でもっとも増えるのは1月というデータも。歳を重ねた老親の姿を目の当たりにして、介護サービスや施設への入居を検討する人も多いとのこと。

「いつもと違う?」と感じた時は、少し注意深く見ていてあげましょう。しかるべき介護と医療に早めに繋いであげることで、本人と家族の生活の質は向上していくかもしれません。

参考資料

吉沢 良子