2. あの「老後の2000万円」には介護費用は含まれていない

かつて「公的年金だけで暮らした場合、老後資金が2000万円不足する」という金融庁のレポートが、数年前に世間の注目を集めました(※2017年家計調査のデータをもとに試算)。まだ記憶に新しいという方もいるでしょう。

ただしこれは、介護が不要で、健康な状態で天寿を全うできたケースの話。実際にはほとんどの人が、何らかの医療や介護を必要としたあと寿命を迎えることになりますね。

介護の自己負担金、介護リフォーム、有料老人ホームの入居費用など、実際に介護にかかる費用は人それぞれ。とはいえ、標準的な相場を知っておくことで、「その時に」備えた心づもりもできてくるでしょう。

3. 【親の介護】団塊ジュニアは知っておこう「介護にかかるお金って平均どのくらい?」

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」から介護費用の平均額を見ていきましょう。

3.1 介護費用(一時的な費用の合計)

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査
 

3.2 介護費用(月額)

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査

一時的な費用の合計は74万円、月々の費用は施設介護で12万2000円、在宅介護で4万8000円です。ただしこれは介護費用がかからなかった人、つまり「0円」の回答も含まれている点に留意が必要です。

また、介護期間の平均は61.1カ月、約5年ですね。仮に5年間分の費用(一時金含め)の合計は、在宅介護で約370万円、施設介護で約820万円になります。

施設介護の場合、民間施設(有料老人ホームなど)か公的施設(特別養護老人ホームなど)によっても費用は変わってくるでしょう。

医療依存度が高い場合は、受け入れ先が限られてくる可能性もあります。また、費用の安さで人気の特別養護老人ホーム(特養)は、入所の順番待ちをする待機者も多いため、必要なときにすぐ入所できるとは限りません。民間の有料老人ホームに入居しながら特養入居待ちをするケースもよく聞く話です。

子育てとは異なり、介護は先行きの見通しが立ちにくい点が難しいところ。本人の資産や年金額を考慮しながら、介護途中で資金がショートしないように計画を立てていく必要があるでしょう。