2.3 世帯状況によって手取り額が変わる
ケース①と②を比較すると、扶養控除対象の子どもが2人いる世帯の方が、22万8000円手取りが多くなっています。控除項目や控除金額が増えるほど、手取り額が増えることがわかります。
とはいえ、子ども2人がいる世帯にとっては、23万円程がプラスになっても子どもの進路次第では余裕がなくなる可能性もあります。少しでも手取り額を増やすためには、所得控除をもれなく適用させることが大切です。
今回のシミュレーションでは所得控除を最低限のものに設定しましたが、ほかにも以下のような項目があります。
- 配偶者特別控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 障害者控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 寄付金控除 など
該当するものがあれば、忘れずに申告して手取り額を増やしましょう。
3. まとめにかえて
年収1000万円をもらっていても、社会保険料や税金等が引かれると手取り額は2〜3割程に減ってしまいます。お金のかかる子育て世帯にとっては、必ずしも十分な金額とはいえない可能性もあります。
社会保険料は所得により決められていますが、所得税や住民税は所得控除を適用させることで減額することが可能です。該当する所得控除を忘れずに申告し、手取り額を1円でも多く受け取れるようにしましょう。
参考資料
- 全国健康保険協会「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 厚生労働省「令和5年度の雇用保険料率」
- No.1191 国税庁「配偶者控除」
- No.1199 国税庁「基礎控除」
- No.1180 国税庁「扶養控除」
- No.1410 国税庁「給与所得控除」
- No.2260 国税庁「所得税の税率」
木内 菜穂子