公的年金は一定の要件を満たすと受け取ることができ、その要件のひとつが、65歳になった方です。
2024年に65歳になる方は1959年(昭和34年)生まれの方です(特別支給の老齢厚生年金を受給できる方は65歳より前に受給できます)。
ただし、年金は誕生日を迎えて自動的に受け取れるわけではありません。
2024年に65歳になる方が知っておくべき、「年金請求書」について解説します。
1. 公的年金を受け取るための要件
60歳まで国民年金の保険料を納めていた方や、厚生年金に加入して働いていた方は、65歳になると老齢基礎年金(国民年金)を受給できる権利が発生します。
実際にどのような要件があるのでしょうか。
1.1 国民年金や厚生年金などの年金制度に通算10年以上加入し受給資格期間がある方
受給資格期間とは、国民年金や厚生年金、共済組合に加入していた方で、保険料を納付した期間に加え、免除された期間、合算対象期間も含みます。
1.2 65歳に達した方
原則として65歳に達すると、老齢年金が受給できます。
繰上げ支給を選択すれば60歳から受給することもできますが、減額された年金額を一生涯受け取ることとなります。
もしも受給資格期間が10年ない場合、任意加入(または高齢任意加入)し、10年になれば受給することができます。
2. 年金の過去の履歴を確認しよう
年金を受給する前には、必ず今までの年金の加入の履歴を確認しましょう。
「ねんきん定期便」が送られてきても確認していない方が多いですし、どこを確認すれば良いかわからないと言われる方も多いです。
しかし最後の確認の時期かもしれませんので、今回はしっかりと確認しましょう。
例えば、35歳、45歳、59歳時に封書で送られてきた「ねんきん定期便」。ねんきん定期便では年金額も大事ですが、これまでの「年金加入履歴」も大事です。
過去に勤務していた事業所の名称が抜けてないか、加入した時期、退職した時期など間違いがないでしょうか。「もれ」や「誤り」がないか確認しましょう。
万が一間違いが見られた場合は、「年金加入記録回答票」にて回答します。
ねんきん定期便には「これまでの厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況」の欄があるため、給与額が大きく変わっていないか、また漏れがないか確認しましょう。
3. 送付される年金請求書を確認する
年金を受給できる権利のある方には、65歳になる3ヶ月前に緑色の封筒で、年金請求書が送られてきます。
「年金請求書」では、「3.これまでの年金の加入状況についてご記入ください。」のページにて、漏れなく記入してください。
改姓・改名している場合もしっかりと記入しましょう。この記入があることで、年金記録の漏れが見つかることもあります。
4. 年金はすぐに受け取る?繰下げをする?
65歳から年金を受け取る場合、誕生日の前日から手続き可能です。書類を揃えて、年金事務所で手続きをするか、全ての書類が揃っているのであれば郵送でも可能です。
一方で、65歳ですぐに受け取らず、繰下げをすることもできます。
すぐに受け取らない方は、66歳以降に繰り下げて請求することで1ヶ月あたり0.7%増額して受け取ることもできます。
繰り下げを待機している期間に、「やはり65歳から受け取りたい」と過去にさかのぼり、繰り下げせずに受給することも可能です。
5. 65歳以降も厚生年金に加入し働く方
年金を受給せずに厚生年金に加入し働くこともできます。厚生年金に加入することで、将来受給できる受給額を増やすことができます。
厚生年金に加入する場合には、在職老齢年金に注意する必要があります。
60歳以降に厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受給する場合、賃金(過去1年の賞与含む)に応じて、厚生年金の全部または一部が支給停止となることがあります。
賃金と年金額の合計が48万円(2023年度)を超えると、48万円を超えた分の半額が年金額から支給停止となります。
言い換えると、過去1年間のボーナスを12で割ったもの + 月額給与 + 年金月額 が48万円を超えると、超えた分に対して年金が減ります。
例えば、過去1年間のボーナス (合計120万円÷12 ) + 給与35万円 + 年金月額10万円の場合、55万円となります。
そうすると48万円を超えるので、超えた分の7万円の半分3万5000円が支給停止となり、年金10万円の中から3万5000円が減額され、6万5000円となるのです。
この支給停止となった年金についても、後になっても支給されることはありません。
6. 年金では手続きが必要
老後の年金を受け取ることができるようになったとしても、請求をしなければ受け取ることができません。
年金を受給できる権利がある方については、日本年金機構から「年金裁定請求書」が送付されますので、必要事項を記入、証明書などを添付して、請求します。
ご家族の状況に応じて、戸籍謄本や住民票の写しの添付、受け取り金融機関の証明などをもらい手続きします。
誕生月の翌月分から受け取れますが、受け取るまでは、通常手続きをして2ヶ月前後の15日に受け取れます。その後は偶数月の15日に口座に振り込まれます。
ここまで、老後の年金は65歳からと述べていましたが、1961年4月1日以前生まれで厚生年金に1年以上加入していた男性の方や共済年金に1年以上加入していた方、1966年4月1日以前生まれで厚生年金に1年以上加入していた女性の方は、年齢に応じて65歳よりも早くもらえる場合があります(厚生年金の脱退手当金を受給している方を除く)。
なお、年金の請求にあたっては請求しない場合は、5年で時効となります。
最悪の場合、数年分の年金を受け取れないこともあるので、日本年金機構や各共済組合から郵便が届いていたら、封筒の中を確認し、内容がわからなければ発行元や専門家に相談しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「さ行 受給資格期間」
- 日本年金機構「「ねんきん定期便」をお送りします。」
- 日本年金機構「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付) 様式101号」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「さ行 在職老齢年金」
香月 和政