厚生労働省「共働き等世帯数の年次推移」によると、1980年から2019年にかけて共働きの世帯数が倍増していることがわかります。
その一方で、「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」の世帯数は半減しています(図表参照)。
バブル崩壊による世帯所得の低下や、男女間の価値観の変化などが増加要因と想定されますが、2019年時点で7割近くの世帯が共働きを選択しています。
共働きを選択することで世帯年収が増加し、リスクヘッジにもなると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
2024年に向けて、家族の働き方を考え直している方もいるでしょう。
今回は、共働き世帯と片働き世帯の平均年収や平均支出の面から比較していきます。
1. 「日本の世帯年収」平均値546万円、中央値423万円
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収の平均値は545万7000円、中央値は423万円とのことです。
上の図表は全世帯を対象としたデータであり、全体としては平均値以下の割合が61.6%となっています。
続いて、共働き世帯の世帯年収を見てみましょう。
1.1 共働き世帯の平均年収は約820万円
総務省の「家計調査家計収支編」によると、「夫婦共働き世帯」の実収入(1カ月あたり、平均値)は69万2664円です。年収にすると約830万円となり、日本の世帯年収の平均値よりも260万円ほど多い水準です。
ただし、配偶者の雇用形態を問わずに算出された金額のため、家庭によって大きく異なるでしょう。
また、同調査では「妻が勤労者以外の世帯」も含まれており、その場合の勤労収入は0円となりますが、「事業・内職収入」を得ているケースが多いようです。
1.2 片働き世帯の平均年収は約657万円
「夫のみ有業の世帯」の実収入(1カ月あたり、平均値)を見ると、56万4210円となっています。
年収に換算すると約680万円となり、共働き世帯を150万円ほど下回る水準です。
片働き世帯の特徴としては、共働き世帯に比べて世帯主の平均収入が高い点などが挙げられます。
また、夫婦のみの家庭よりも子どもがいる世帯のほうが平均年収は高く、「夫婦+子ども2人」の世帯の実収入は62万4582円となっています。
2. 「共働き・片働き」家計支出の平均はどのくらい?
共働き世帯と片働き世帯の実支出(1カ月あたり、平均値)は、それぞれ46万9592円、42万5325円となっています。
支出の内訳を見ると、「教育費」や「外食費」などの項目では共働き世帯のほうが高い傾向にあります。
子どもの有無・人数、家事をする時間などにも左右される項目ですが、「子どもが増えると片働きでは辛い」「共働きだと家事をする時間が限られる」といった背景があるのでしょう。
2.1 世帯年収と家計支出の差額
共働き世帯と片働き世帯の平均年収と平均支出をまとめると、以下のようになります。
- 共働き世帯:平均年収830万円、平均支出(年換算)564万円
- 片働き世帯:平均年収680万円、平均支出(年換算)510万円
年収と支出の差額は、共働き世帯が266万円、片働き世帯が170万円となっており、およそ100万円の差があることがわかります。
あくまでも平均値であり、各家庭の事情等は考慮できませんが、共働きを選択することで年間約100万円分の余裕が生まれる可能性があるということになります。
3. 共働きはリスクヘッジになるが、いくつかのデメリットも
夫婦どちらかが家庭の全収入を担っている場合、収入減少時のリスクが高くなります。
勤務先の業績悪化で給料が減る可能性もありますし、病気やケガで休職を余儀なくされる可能性もあるでしょう。
その点、共働きであればもう1人の収入があり、経済的かつ精神的に余裕を持てるので、リスクヘッジになっていると言えます。
また、2人とも会社員として働いた場合、老齢基礎年金および老齢厚生年金を2人分受け取れることになります。
年金受給額が多いほど老後生活が安定しやすいので、老後破産を防ぐという意味でもリスクヘッジになっていると言えるでしょう。
その一方で、共働きを選択した場合は以下のようなデメリットもあります。
- 自分の時間、家族と接する時間が減る
- 家事をする時間が限られる
- 肉体的かつ精神的に疲労がたまりやすい
当然のことながら、2人とも働いていれば自由に動ける時間は限られます。夫婦間での役割分担だけではなく、家事の時短テクニックを身に付けるなど、さまざまな工夫が必要になるでしょう。
我々の生活ではお金の問題が大きなウェイトを占めていますが、共働きによる弊害も想定しつつ、各家庭にとってベストな方法を模索することが大切です。
参考資料
加藤 聖人