「老後生活をスタートさせたら、年金で悠々自適な生活を送る」という理想を描いている人も多いのではないでしょうか。
しかし実際は年金だけで生活していくのは難しくなっており、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」では、100%年金だけで生活している人は、全体の44%と半数にも満たない結果となっています。
半数以上も年金だけで生活していけていない現状から、なかには子ども側が「ウチの親の年金が少ない」と不安に思っているケースもあります。
ではなぜ、年金受給額が少ない人と多い人とで格差が生じるのでしょうか。
本記事では、年金が少ない人の理由や可能性の高い【年金の不整合記録問題】について詳しく解説していきます。
現在の国民年金と厚生年金の平均受給額についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 受け取れる老齢年金の受給額が少ない4つの理由
老後に受け取れる年金は、全ての人が同じ額をもらえるわけでなく、人によって受給額が変わります。
たとえば年金月額が5万円の人もいれば、30万円以上もらえる人も存在します。
本章では、受け取れる老齢年金の受給額が少ない4つの理由について詳しく解説していきます。
1.1 国民年金しか受給資格がない
まず1つ目は、国民年金しか受給資格がないというケースです。
この場合は、受け取れる年金受給額が少なくなる傾向にあります。
日本の公的年金制度では「国民年金」と「厚生年金」の2種類が存在し、2階建て構造となっています。
国民年金は、原則20歳〜60歳未満の人が加入するもので、加入期間と納付月数が同じ場合は、加入者全員同じ額が支給されます。
一方で、厚生年金は主に会社員や公務員などが加入するもので、国民年金に「上乗せ」する形で、年金が支給されます。
厚生年金に加入していないと、年金の上乗せがないことから、将来受け取れる年金額が少なくなるのです。
実際、厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の平均受給額は下記のようになっています。
- 国民年金の平均受給額:5万6368円
- 厚生年金の平均受給額:14万3965円(国民年金を含む)
国民年金だけの場合は、厚生年金の約1/3しか年金額を受け取れないことから、少ないと感じる人も多いでしょう。
1.2 現役時代に年収が低かった
厚生年金の受給資格がある場合は、国民年金よりも年金額が増える傾向にありますが、一概に全ての受給資格者が多くもらえるとは限りません。
厚生年金は、現役時代の「加入期間」や「年収」によって受給額が変わるため、同じ加入期間であっても年収の違いで受け取れる年金額に差が生じます。
また、厚生年金の加入期間が短い場合でも、平均受給額に到達しないケースがあります。
1.3 受給資格期間が足りない
年金は老後誰しもが受け取れるわけではなく、受給資格期間が足りない場合は年金自体を受け取れなくなる可能性もあります。
年金は、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」の合計が10年以上ある場合に受給資格を得ることができます。
以前までは、25年必要とされていましたが、現在は緩和され10年に変更になりました。
もし年金保険料を支払っていても、支払い期間が10年に満たない場合は年金を受給できずに払い損になってしまう可能性もあるため、未納期間がある場合は、今一度確認しておけると良いでしょう。
1.4 年金の不整合記録問題に関与している
前述したように、日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっており、1階部分は国民年金加入者の「第1号被保険者〜第3号被保険者」に分類されます。
上記のうち「第3号被保険者」は、第2号被保険者となる公務員や会社員などに扶養されている配偶者のことを指し、個人で年金保険料を支払う必要はありません。
しかし第3号被保険者に該当する人が、扶養から外れて働くようになったり、配偶者が第2号被保険者でなくなったりした場合は「第1号被保険者」となり、年金保険料の支払いが発生します。
上記のケースで手続き漏れが生じてしまうと、年金保険料の未納期間が発生してしまうのですが、これを「3号不整合記録問題」といいます。
「不整合記録問題」は救済措置も用意されているため、もし自身が該当する場合は、すぐに年金事務所に届け出を行うことが大切です。
2. 【老齢年金】現在の国民年金・厚生年金はいくら?
では、最後に現在の日本の年金受給者がどのくらい年金を受け取っているのかを見ていきましょう。
本章では、厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、国民年金・厚生年金それぞれの受給割合を紹介していきます。
2.1 国民年金の受給額
厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の受給割合は下記のようになりました。
上記グラフをみてみると、6万円以上〜7万円未満がボリュームゾーンとなっており、最も多い割合を占めていることがわかります。
国民年金は保険料が一律であり、加入期間と納付月数が同じであれば、同じ給付額となるため、年金額に大きな差が生じないのでしょう。
反対に、7万円以上になることもなく国民年金の場合は受け取れる支給額の幅が狭いといえます。
2.2 厚生年金の受給割合
厚生労働省の同調査によると、厚生年金(国民年金の金額を含む)の受給割合は下記のようになりました。
厚生年金は、現役時代の年収や加入期間などが反映されるため、国民年金よりも受給割合の幅が広く、個人差が大きいことがわかります。
また平均年金月額に到達していない人も一定数存在し、中には月額5万円以下の人もいるようです。
今回紹介した「受け取れる老齢年金の受給額が少ない理由」に該当する場合は、平均額を受け取れない可能性も出てくるため、今一度自分は該当していないか確認しておけると良いでしょう。
3. 老後の備えは早いうちからしておこう
本記事では、年金が少ない人の理由について詳しく解説していきました。
平均的な年金受給額より少ない理由の中には、未納であることが要因となる場合が多いです。
年金は将来の老後の大きな収入源となるため、もし年金の未納期間がある場合はしっかりと後納をしておくことをおすすめします。
もし、ご自身の将来受け取れる年金がどのくらいか知りたい場合は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認してみると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金を受けとるために必要な期間が10年になりました」
- 日本年金機構「3号不整合記録問題とは何ですか。」
LIMO編集部