1.1 国民年金しか受給資格がない
まず1つ目は、国民年金しか受給資格がないというケースです。
この場合は、受け取れる年金受給額が少なくなる傾向にあります。
日本の公的年金制度では「国民年金」と「厚生年金」の2種類が存在し、2階建て構造となっています。
国民年金は、原則20歳〜60歳未満の人が加入するもので、加入期間と納付月数が同じ場合は、加入者全員同じ額が支給されます。
一方で、厚生年金は主に会社員や公務員などが加入するもので、国民年金に「上乗せ」する形で、年金が支給されます。
厚生年金に加入していないと、年金の上乗せがないことから、将来受け取れる年金額が少なくなるのです。
実際、厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の平均受給額は下記のようになっています。
- 国民年金の平均受給額:5万6368円
- 厚生年金の平均受給額:14万3965円(国民年金を含む)
国民年金だけの場合は、厚生年金の約1/3しか年金額を受け取れないことから、少ないと感じる人も多いでしょう。
1.2 現役時代に年収が低かった
厚生年金の受給資格がある場合は、国民年金よりも年金額が増える傾向にありますが、一概に全ての受給資格者が多くもらえるとは限りません。
厚生年金は、現役時代の「加入期間」や「年収」によって受給額が変わるため、同じ加入期間であっても年収の違いで受け取れる年金額に差が生じます。
また、厚生年金の加入期間が短い場合でも、平均受給額に到達しないケースがあります。
1.3 受給資格期間が足りない
年金は老後誰しもが受け取れるわけではなく、受給資格期間が足りない場合は年金自体を受け取れなくなる可能性もあります。
年金は、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」の合計が10年以上ある場合に受給資格を得ることができます。
以前までは、25年必要とされていましたが、現在は緩和され10年に変更になりました。
もし年金保険料を支払っていても、支払い期間が10年に満たない場合は年金を受給できずに払い損になってしまう可能性もあるため、未納期間がある場合は、今一度確認しておけると良いでしょう。
執筆者
LIMO編集部は、LIMO編集長である宮野茉莉子を中心に、経済や資産形成や資産運用といった投資をテーマとし、金融機関勤務経験者である編集者が中心となって情報発信を行っています。加えて「くらしとお金」に関係する旅行、園芸、ショッピングや外食といった身近なテーマを各種専門家である編集者がわかりやすく解説します。LIMO編集部のメンバーは、大手金融機関で機関投資家としてファンドマネージャーや証券アナリスト、証券会社やメガバンク、信託銀行で富裕層・準富裕層への資産運用アドバイス担当、調査会社のアナリスト、ファッション誌の編集長、地方自治体職員、ネットメディアの経験者などで構成されています。編集スタッフの金融機関勤務経験年数は延べ47年、正確には565か月となります。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、第一種外務員(証券外務員一種)、FP2級、AFPなどの資格保有者が複数在籍。生保関連業務経験者は過去に保険募集人資格を保有。LIMOは株式会社ナビゲータープラットフォームが運営しています(最新更新日:2024年4月22日)。
監修者
株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年3月18日更新)