2024年1月にスタートする「新しいNISA」、通称「新NISA」。

ここでは、NISAとは何なのか、新NISAの特徴、新NISAの成長枠の使い方についてみていきたいと思います。

それでは、NISAとは何かからスタートしましょう。

そもそもNISAとは何か

金融庁によれば、非課税口座である「NISA口座」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり税金がかからなくなるという制度です。

そもそもは、英国のISA(Individual Savings Account, 個人貯蓄口座)をモデルにし、日本版ISAとして、Nippon ISA、略してNISAとして始まったものです。

また、英国ISAは、その前からあった2つの課税口座を統合して始まっており、1987年のPEPs(Personal Equity Plans, 個人株式非課税口座)、91年のTESSA(Tax Exempt Special Savings Account, 非課税特別貯蓄口座)がその源流となっています。

このように海外で実績がある非課税投資制度を日本に輸入し始まったのがNISAということになります。

さて、NISAですが、令和5年度税制改正の大綱などにおいて、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されました。それを金融庁は「新しいNISA」と呼んでいます。

新NISAの5つのポイント

さて、新NISAは、大きく5つのポイントがあります。

  • 非課税保有期間の無期限化
  • 口座開設期間の恒久化
  • つみたて投資枠と成長投資枠の併用可
  • 年間投資枠が最大360万円(つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円)
  • 非課税保有限度額が全体で1800万円

このように、これまでの一般NISAやつみたてNISAと異なり、多くの個人投資家にとっては使い勝手がよくなったといえるでしょう。

新NISAの成長投資枠をどう使うか

さて、最近よく話題になるのが、新NISAの「成長投資枠」の活用法です。

では、新NISAで成長投資枠の使い方が議論となるのはなぜでしょうか。

それは、つみたて投資枠で投資対象の商品となっている長期の積み立て・分散投資に適した投資信託だけではなく、上場株式などにも投資対象の幅が広がるからです。

つみたてNISAの精度かにおいては、金融庁厳選の投資信託ラインナップの枠内で投資先を検討すればよかった状況でした。

しかし、新NISAにおいては、「投資検討の自由度は広がったが、悩むポイントが増えた」という印象が実際ではないでしょうか。

新NISAの成長投資枠、5つの金融商品の活用法

それでは、新NISAの成長枠投資をどのように活用すればよいのか、金融商品の組み合わせ別にみていきたいと思います。

【その1】インデックスファンドをつみたて投資枠と同様に購入

「新NISAでもつみたてNISAと同じ投信がいい」
「新NISAだからといて、新たに投資先を増やしたくない」

つみたて投資枠で購入しているインデックスファンドなどをさらに積み増して購入するという成長投資枠の使い方です。

つみたてNISAでつみたて投資に慣れた層が一番選択しやすいのがこのパターンかと思います。

今後、資産形成をさらに加速させていきたいという方が選択してもよいアプローチ。

【その2】高配当株式ETF

「定期的に配当金が欲しい」
「キャピタルゲイン狙いだけだと株価下落が長期で続いた際、新NISAの非課税枠メリットを自分のタイミングで享受できるか不安」
「個別銘柄の投資はしたくない」

成長投資枠で配当をしっかり手に入れたいという方は高配当株式ETFが成長投資枠の活用としてはありでしょう。

もっとも、景気が減速すればETFの価格水準も下がり、ETFに組み入れられている銘柄の企業業績が悪化すれば、それにともない配当も減ることが多いです。

したがって、配当が継続的に分配されるものの、その配当水準も変動的であるという側面は理解しておく必要はあります。

【その3】高配当個別株式

その2と同様な考え方ですが、いろいろな銘柄が入っているETFよりは、自分で銘柄を分析して、配当の継続性、配当水準(配当利回り)を意識して個別銘柄を選好するアプローチ。

【その4】株式型アクティブファンド

「目先の配当収入は期待しない」
「つみたて投資枠でつみたて購入しているインデックスファンド以外で投資信託を選びたい」
「インデックス以上のパフォーマンスを期待したい」
「個別銘柄の選別はしたくない」

アクティブファンドは、一般的に知られているようにベンチマークに勝てるファンドは決して多くありません。ただ、事実として長期でベンチマークに大きく買っているファンドも存在しています。

したがって、アクティブファンド選びは品質を見て選ぶ必要があります。

運用会社が大々的に宣伝をしているファンドも、よくみるとベンチマークに負けているものも少なくありません。

アクティブファンドを選ぶ際には、シャープレシオだけではなく、アクティブリターンとトラッキングエラーをもとにしたインフォーメーションレシオなども参考にしながら慎重に選びましょう。

【その5】日本や米国の成長株投資

「株式投資の醍醐味は10倍株(テンバガー)への厳選投資だ」

という方には、個別株投資しかもはや眼中にないかもしれません。

個別株投資は最初から分散投資がされている投資信託やETFと違って、価格変動のボラティリティが大きいということは理解しておく必要があります。

また、成長株は往々にして配当がまったくないか、あっても配当利回りは低いので、配当に興味がある人には向いていないといえるでしょう。

既に資産をある程度持っている投資家か、リスクを取ってでも手元資金を大きく増やす可能性を持っておきたいという方が向いています。

まとめにかえて

新NISAの成長投資枠は資産運用にどう向き合うかで人それぞれの選択が出てきそうです。

今回ご紹介した5つの金融商品の組み合わせのどれが正解というのではありません。それぞれがどういった狙いで成長投資枠を活用するのかがポイントとなりそうです。

つみたてNISAではどのインデックスファンドが一番良いのかという議論が盛んでしたが、今後は成長投資枠の選択肢を議論する展開が生まれてきそうです。

参考資料

LIMO編集部