要介護度には、大きく分けて「要支援」と「要介護」の2種類があります。
厚生労働省の「令和5年版高齢社会白書」によると、65~74歳と75歳以上の介護保険被保険者では、要支援、要介護の認定を受けた人の割合は、65〜74歳では1.4%、3.0%であるのに対して、75歳以上では8.9%、23.4%に。
しかし、「そもそも要支援と要介護は何が違うの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんね。
要支援と要介護では「介護を必要とするレベル」に違いがあり、介護保険で利用できる介護サービスの内容も異なります。
そこで、本記事では、要支援と要介護の認定基準の違いや利用できるサービスの種類、介護度別の支給限度額を詳しく解説します。
これから介護を始める方や介護保険の申請をする方はぜひ参考にしてください。
要支援と要介護、それぞれの状態とは?
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要支援と要介護とはそれぞれどのような状態なのでしょうか?介護保険法では、以下のように定義されています。
【要支援状態の定義(法第7条第2項)】
身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに該当するものをいう。
【要介護状態の定義(法第7条第1項)】
身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。
※厚生労働省令で定める期間:原則6カ月
つまり、「要支援」とは 日常生活の大半は自立しているが、買い物や掃除などの日常生活の一部に援助が必要で、将来介護状態になる恐れがある状態です。
一方、「要介護」とは 食事や入浴、排泄に至る日常生活動作について 常時介護が必要な状態を言います。
要支援・要介護の認定基準は?
要支援・要介護の認定は、厚生労働省が定めた「要介護認定基準時間」に基づいて判定されます。
要介護認定基準時間とは、介護の手間にかかる時間を表したものです。
要介護度は要支援1・2と要介護1〜5の7区分に分けられますが、介護にかかる手間や時間が多いほど、要介護度も重くなっていきます。
以下は、要介護度ごとに定められた要介護認定基準時間です。
【要介護度別】 要介護認定等基準時間
- 要支援1:1日25分以上32分未満
- 要支援2:1日32分以上50分未満
- 要介護1:1日32分以上50分未満
- 要介護2:1日50分以上70分未満
- 要介護3:1日70分以上90分未満
- 要介護4:1日90分以上110分未満
- 要介護5:1日110分以上
要支援と要介護では、具体的に何が違うの?
要支援と要介護では、受けられるサービスや利用上限額に違いがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
要支援と要介護の違い(1) 受けられるサービス
介護の必要性が比較的低い要支援の方は、要介護状態にならないための介護予防に重点が置かれた「介護予防サービス」を受けられます。(介護予防サービスの名称には、基本的に「介護予防」が付いています)
一方で、要介護の方は、状態の維持または改善を目的にした介護サービスを受けられます。
以下の表は、介護度別で利用できる主な介護サービスの一覧です。
【サービス種類別】利用できる介護制度
【要支援で利用できるサービス】
- 介護予防支援(ケアプラン)
- (介護予防)訪問入浴介護
- (介護予防)訪問看護
- (介護予防)訪問リハビリテーション
- (介護予防)通所リハビリテーション
- (介護予防)短期入所生活介護・短期入所療養介護
- (介護予防)居宅療養管理指導
- (介護予防)福祉用具貸与
- 特定(介護予防)福祉用具販売
- (介護予防)住宅改修
- (介護予防)特定施設入居者生活介護
- (介護予防)小規模多機能型居宅介護
- (介護予防)認知症対応型共同生活介護
- (介護予防)認知症対応型通所介護
【要介護で利用できるサービス】
- 居宅介護支援(ケアプラン)
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 通所介護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護・短期入所療養介護
- 居宅療養管理指導
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
- 住宅改修
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 認知症対応型通所介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 特定施設入居者生活介護
次では、利用できるサービス費用の上限額についても見ていきます。
要支援と要介護の違い(2) 利用できるサービス費用の上限額
要支援と要介護では、利用できるサービス費用の上限額も異なります。
介護保険で居宅サービスを利用する場合は、1カ月間で利用できるサービスの量が要介護度別に定められています。
このことを「支給限度額」と言い、限度額の範囲内であれば1割(所得に応じて2〜3割)の自己負担で介護サービスが利用可能です。
以下の表は、要介護度別の限度額です。(1割負担の場合)
【要介護度別】1カ月あたりの支給限度額(1割負担の場合)
- 要支援1:5万320円
- 要支援2:10万5310円
- 要介護1:16万7650円
- 要介護2:19万7050円
- 要介護3:27万480円
- 要介護4:30万9380円
- 要介護5:36万2170円
要支援1の1カ月の限度額は5万320円のため、負担する金額は5320円です。要介護5の方の場合では、1ヶ月の限度額は36万2170円のため、3万6217円を負担することになります。
このように、介護保険で受けられるサービスの上限は要支援では少なく、介護度が上がるほど増えることがわかります。
なお、上限額を超えてもサービスの利用は可能ですが、その分の利用料は介護保険が適用されないため、全額自己負担となります。
要支援と要介護の違い(3) サービス利用方法の違い
介護サービスを利用するためには、ケアプランの作成が必要ですが、要支援・要介護では、ケアプランの作成担当者が異なります。
要支援の場合のサービス利用方法
要支援の方が介護予防サービスを利用するためには、「介護予防サービス・支援計画書」の作成が必要です。
その作成を担うのは、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターには、介護予防ケアマネジメントを行う主任ケアマネジャーなどが配置されており、依頼することで介護予防サービスの利用支援が受けられます。
要介護の場合のサービス利用方法
要介護の方で、訪問介護などの介護サービスを利用する方は、居宅介護支援事業者(ケアプランセンター)と契約し、担当のケアマネジャーにケアプランを作成してもらいます。
特別養護老人ホームなど施設サービスを利用する方は、入所する施設に直接申し込みをして契約します。ケアプランの作成担当者は施設に所属するケアマネジャーです。
※編集部より:読者のご指摘を受け、記事内の記載事項に一部修正・加筆をいたしました。お詫び申し上げます。(2023年12月4日 14:58)
参考資料
中谷 ミホ