子どもの教育費は1人当たり1000万円以上、ときには数千万円かかります。

50歳代の世帯では、子どもも成長して高校・大学などコストのかかるゾーンに差し掛かっているケースが多いです。

受験生がいる家庭では、これから冬期講習などでさらに教育費の追い込みがかかる時期です。

教育費が重くのしかかるものの、そろそろ老後資金が気になる頃ではないでしょうか。

50歳代の二人以上世帯では約24.4%が貯蓄ゼロですが、子どもの教育費が原因なのであれば、独立後の工夫により老後資産を形成できる可能性があります。

子どもの教育費は1人あたり総額約1000万円~2700万円

子供の学費は、しばしば重い家計負担となりがちです。

2021年時点の文部科学省の調査によると、一人の子が幼稚園~高校卒業までの平均的な教育費は【図表1】の通りです。

【図表1】幼稚園~高校までの公立・私立それぞれの教育費1/4

【図表1】幼稚園~高校までの公立・私立それぞれの教育費

出所:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査(学校教育費・給食費、学校外活動費の合計)」を参考に筆者作成

私立に通う年数が長いほど教育費が高くなりがちなため、実際には「全て公立」「全て私立」の間のゾーンに収まる世帯が多いと想定されます。

また、大学の学費は【図表2】の通りです。

【図表2】大学4年間の教育費(万円)2/4

【図表2】大学4年間の教育費(万円)

出所:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」を参考に筆者作成

以上を合計すると、幼稚園~大学の1人の子供の教育費は、少なくとも1000万円強、高額なケースでは約2700万円かかる計算です。

とくに50歳代の世帯では子供が高校~大学に差し掛かっている場合が多く、年間の教育費が膨らむタイミングといえます。

50歳代「貯蓄ゼロ」は二人以上世帯で24.4%

50歳代の二人以上世帯の貯蓄額の分布は【図表3】の通りです。

【図表3】50歳代の二人以上世帯の貯蓄額3/4

【図表3】50歳代の二人以上世帯の貯蓄額

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」をもとにLIMO編集部作成

平均が1253万円である一方で、全体の真ん中の順位の世帯の水準である中央値は350万円にとどまります。

平均は一部の富裕層などの数値によって引きあがる性質があるため、中央値の方が世の中の一般的な水準を示すと考えられます。

そのなかで、金融資産非保有世帯は24%います。

ほぼ4世帯に1つが貯蓄ゼロということになるため、決して珍しいことではありません。

子どもの教育費の高さをふまえると、教育費が負担となって資産形成が進まなかった世帯も多いと推測されます。

子どもの独立後のライフプランを立てて、資産運用を進めよう

教育費が原因で貯蓄ゼロの50歳代の世帯は、必ずしも深刻な状況とは限りません。

冷静にライフプランを立てて、65歳までの収支見通しを立てましょう。

仮に子どもが大学生だったとすると、入学費を無視したとして平均で年間103万円(国公立大学のケース)~183万円(私立理系のケース)の教育費がかかる計算です。

これを月あたりに換算すると【図表4】の通りです。

【図表4】大学在学中の教育費の月額の試算(万円)4/4

【図表4】大学在学中の教育費の月額の試算(万円)

出所:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」を参考に筆者作成

つまり、子どもが大学を卒業して就職した場合、少なくとも教育費9万円~15万円が浮きます。

もし子どもが独立するのであれば、教育以外で子どもにかかっていた生活費も不要になるため、さらなる家計改善が可能です。

実は、月9万円を年利回り4%で積立投資に回すと、14年間で2000万円の資産を築けます。

50歳の人であれば、子どもにかかっていた教育費を丸ごと貯蓄に回せば、ゼロの状態からでも65歳までに2000万円の資産を形成できるのです。

ちなみに月15万円で年利回り4%なら、10年で2200万円強の資産を築けるので、55歳からでも間に合います。

まずは、子どもが独立後の家計シミュレーションをしてみましょう。

教育費のほかにも子どもの生活費や子どものためにかけていた保険の見直しなどを加味すれば、更にハイペースで資産形成を進められる世帯もあると考えられます。

現状に過度に悲観せず、子ども独立後の資産計画を立てよう

50歳代の二人以上世帯の24.4%が貯蓄ゼロですが、原因が子どもの教育費にあるのであれば、過度に悲観する必要はありません。

今回紹介したように教育費や子ども分の生活費を貯蓄に回すと、65歳までに急速に資産形成が進むケースもあります。

さらに、退職金などを加味すると「意外に65歳2000万円の資産形成が見通せる」世帯も少なくありません。

まずは、冷静になって独立後のライフプランや収支計画を立てましょう。

子どもにかかっている費用全てを加味しても資産が足りないとわかったら、必要な収支改善や節約などを検討してください。

参考資料

太田 彩子