2023年9月に公開された国税庁「令和4年分 民間給与実態調査」によると、日本の民間企業に勤める給与所得者の平均年収は458万円。

ここから、一般的な年収は「400万円台」であることがわかります。

一方、桁数的にも一つの区切りと捉えられることの多いのが「年収1000万円」。

平均給与からみると倍以上であるため、「富裕層」というイメージを持つかもしれません。

それでは、年収1000万円は本当に「裕福」なのでしょうか。その割合と実態について、詳しくみていきましょう。

日本に「年収1000万円超」の人はどのくらいの割合いる?

まずは、現代の日本国内に「年収1000万円」以上手にする人がどのくらい存在するのか、給与所得と世帯年収、2つの観点からチェックしていきます。

【給与所得】「年収1000万円」に到達している割合

国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、2022年に1年間を通じて勤務した給与所得者5078万人のうち、「年収1000万円超」給与所得者の割合は所得者全体の5.4%でした。

この数値から、日本の給与所得者のうち年収1000万円超に到達している人は約20人に1人であるとわかります。

【世帯年収】「年収1000万円」に到達している割合

次に「世帯年収」の観点から、年収1000万を超えている割合をみていきましょう。

厚生労働省から公表された「2022年 国民生活基礎調査の概況II 各種世帯の所得等の状況」では、世帯年収1000万円超の割合は全体の12.6%という結果でした。

世帯年収の場合は、約8世帯に1世帯の割合とわかるでしょう。

単純に、給与所得での割合と比較して倍以上違いがあります。

近年、女性の活躍機会拡大の取り組みや、働き方改革の影響で共働き世帯が増加傾向にあり、夫婦あわせれば世帯年収1000万円超えを目指しやすい状況だと推測されます。

「年収1000万円超」世帯の貯蓄はいくら?

給与所得であれ、世帯年収であれ、やはり収入面でみれば限られた人のみ到達できるように思える「年収1000万」という壁。

そんな彼らの貯蓄状況はどのようなものでしょうか。

金融広報中央委員会「2022(令和4)年家計の金融行動に関する世論調査」をもとに「年収1000万円~1200万円」と「年収1200万円以上」のデータを抽出します。

単身世帯、二人以上世帯それぞれの貯蓄状況をまとめました。

金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の割合(単位:%)

割合が両極端な結果となった単身世帯と比較して、二人以上世帯は全体的にバラつきがみられました。

つづいて年収1000万円以上の世帯の金融資産保有額「中央値」を確認してみましょう。

《年収1000万円~1200万円未満》金融資産保有額の中央値

  • 単身世帯の中央値:2154万円
  • 二人以上世帯の中央値:1000万円

《年収1200万円以上》金融資産保有額の中央値

  • 単身世帯の中央値:3300万円
  • 二人以上世帯の中央値:1800万円

貯蓄額でみても、潤沢な資産があるといえるでしょう。しかし、気になるのはとくに単身世帯で顕著にみられる「金融資産を保有していない」世帯です。

年収1000万稼いでも苦しい……「高所得貧乏」の割合とは

同統計内で確認できる「金融資産を保有していない」割合は、以下のとおりです。

《年収1000万円~1200万円未満》金融資産非保有世帯の割合

  • 単身世帯:12.2%
  • 二人以上世帯:16.7%

《年収1200万円以上》金融資産非保有世帯の割合

  • 単身世帯:33.3%
  • 二人以上世帯:13.0%

「年収1000万円~1200万円」の単身世帯16.7%・二人以上世帯12.2%、「年収1200万円以上」の単身世帯33.3%・二人以上世帯13.0%が金融資産非保有という状況です。

上記の結果から、二人以上世帯であれば約10世帯中1世帯、単身世帯であれば10世帯中2〜3世帯程度が、年収1000万円を超えてもなお、貯金していない「高所得貧乏」だとわかります。

「年収1000万円でも苦しい」理由

高所得でも貯蓄の少ない人の特徴として、以下のような理由が挙げられます。

「年収1000万円でも苦しい」理由:税金面

日本の税制上、給与があがるほど税率もあがる「累進課税」が採択されているため、稼いだ分だけ多く天引きされる形となります。

額面が年収1000万円以上でも、税金や社会保険料が引かれた後の手取りはかなり減るようです。

さらに、課税される所得金額が899万9000円までであれば所得税の税率が23%ですが、900万円を超えると33%にあがります。

年収1000万円を超えると、こうした税率があがって負担が増えることもあるのです。

共働き世帯か、片働き世帯かでも税負担の割合等が変わり、世帯により負担が違う点に不満の声があがりやすいとされています。

「年収1000万円でも苦しい」理由:ローン返済

年収1000万円以上であれば返済できる信用が大きくなり、組みやすくなるローン。新車や高級住宅など、たとえ貯金額が少なくてもローンが組みやすくなってしまいます。

結果的に毎月、金利を含めたローンの返済金が固定費として重くのしかかっている世帯も。

これが、将来のための貯蓄が難しい状況をつくっているのです。

「年収1000万円でも苦しい」理由:家計に無頓着

上記のような支出や固定費が膨らんでいるにもかかわらず、毎月多額の収入があると思い込み贅沢な暮らしをつづけてしまうと、手元のお金はすぐになくなってしまうでしょう。

自由気ままにお金を使うようになると節約意識が低くなり、家計の収支がますます見えにくい状況となります。

普段の生活費を抑えて計画的に貯金を増やし、少しずつでも余剰資金を投資など資産運用に回せれば、老後の生活が安定したものになるかもしれません。投資にはある程度のリスクがありますが、一度検討してみてはいかがでしょうか。

年収アップと同時に、投資や節税、貯蓄に意識を向けて

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DRN Studio/shutterstock.com

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年収1000万円以上の収入があれば、金融資産非保有から抜け出すのはそう難しくはないでしょう。

大切なのは日々の支出に対する視線をシビアにして、お金の使い方を自分自身でコントロールすることです。

生活レベルを上げるために更なる年収アップを目指すだけではなく、資産運用や節税なども検討し、安定した老後資金づくりに意識を向けてみてください。

参考文献

荒井 麻友子