「年収1000万円でも苦しい」理由
高所得でも貯蓄の少ない人の特徴として、以下のような理由が挙げられます。
「年収1000万円でも苦しい」理由:税金面
日本の税制上、給与があがるほど税率もあがる「累進課税」が採択されているため、稼いだ分だけ多く天引きされる形となります。
額面が年収1000万円以上でも、税金や社会保険料が引かれた後の手取りはかなり減るようです。
さらに、課税される所得金額が899万9000円までであれば所得税の税率が23%ですが、900万円を超えると33%にあがります。
年収1000万円を超えると、こうした税率があがって負担が増えることもあるのです。
共働き世帯か、片働き世帯かでも税負担の割合等が変わり、世帯により負担が違う点に不満の声があがりやすいとされています。
「年収1000万円でも苦しい」理由:ローン返済
年収1000万円以上であれば返済できる信用が大きくなり、組みやすくなるローン。新車や高級住宅など、たとえ貯金額が少なくてもローンが組みやすくなってしまいます。
結果的に毎月、金利を含めたローンの返済金が固定費として重くのしかかっている世帯も。
これが、将来のための貯蓄が難しい状況をつくっているのです。
「年収1000万円でも苦しい」理由:家計に無頓着
上記のような支出や固定費が膨らんでいるにもかかわらず、毎月多額の収入があると思い込み贅沢な暮らしをつづけてしまうと、手元のお金はすぐになくなってしまうでしょう。
自由気ままにお金を使うようになると節約意識が低くなり、家計の収支がますます見えにくい状況となります。
普段の生活費を抑えて計画的に貯金を増やし、少しずつでも余剰資金を投資など資産運用に回せれば、老後の生活が安定したものになるかもしれません。投資にはある程度のリスクがありますが、一度検討してみてはいかがでしょうか。
年収アップと同時に、投資や節税、貯蓄に意識を向けて
年収1000万円以上の収入があれば、金融資産非保有から抜け出すのはそう難しくはないでしょう。
大切なのは日々の支出に対する視線をシビアにして、お金の使い方を自分自身でコントロールすることです。
生活レベルを上げるために更なる年収アップを目指すだけではなく、資産運用や節税なども検討し、安定した老後資金づくりに意識を向けてみてください。
参考文献
- 国税庁「令和4年分 民間給与実態調査」
- 厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況II 各種世帯の所得等の状況」
- 金融広報中央委員会「令和4年(2022年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」
- 金融広報中央委員会「令和4年(2022年) 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」
荒井 麻友子