1. 2023年3月の金融セクター不安で一時的な下落か

2023年3月はシリコンバレーバンクの破綻とクレディ・スイスの買収といった出来事が相次ぎ、金融セクターに対する不安が高まり、両社の株は下落したと考えられます。

一時は金融危機の再来リスクも意識されて日経平均も下落したと思われますが、グローバルに金融ビジネスを展開する両社の下落は日経平均よりも大きくなっています。

2023年3月中の最大下落率2023年3月1日~3月31日の各日株価終値において月中最高値と最高値記録後の最安値の下落率を集計

出所:各資料をもとに筆者作成

実際には、米国の地銀の一部に波及した程度で、グローバルでみると大きく状況が悪化することはなかったため、両社の株価は次第に回復傾向になったと思われます。

2. 順調な決算と円安の進行により株価は上昇か

2022年度の好調な決算は、株価上昇要因の一つと考えられます。

2023年5月に発表された通期決算では、三井住友FGが連結業務純益・経常利益・親会社株主純利益全てで増益、みずほFGも経常利益や親会社株主純利益で増益となりました。

主たる要因としてまとめられた内容は、三井住友FGは円安が進行した為替が増益の要因の一つでした。

みずほFGは海外での金融ビジネスが好調であったことをあげています。

みずほの決算資料を見ると、貸出金利と預金金利の差が海外部門で上昇していました。

このような円安、米金利の上昇傾向は2023年になってもさらに進行したため、2022年度決算発表以後の両社の株の下支え要因の一つと考えられます。

米ドル円為替推移(円/ドル)と米国5年金利の推移2023年3月31日~10月2日

出所:各種資料をもとに筆者作成

2023年度第1四半期の決算では、両社とも円安を増益要因の一つとしてあげています。