収入の減少や失業などで所得が減った方の中には、支援や優遇を受けたいと思っている方もいるでしょう。住民税非課税世帯に対して、さまざまな公的支援や優遇措置が設けられています。
しかし、住民税非課税世帯の対象になるには条件があり、該当した世帯のみが支援や優遇を受けることができます。
この記事では、住民税非課税世帯に該当するための条件や、対象となる世帯が受けられる具体的な支援や優遇措置の種類について解説していきます。
住民税非課税世帯とは
住民税非課税世帯とは、世帯の全員が住民税が課税されない世帯のことをいいます。
住民税は、公共施設や学校教育、福祉、ごみ処理など地域の行政サービスにかかる費用をその地域に住む住民が分担して負担するものです。
原則としてその地域に住んでいれば納付義務のあるものですが、一定条件に当てはまる世帯は非課税となります。
住民税は、所得に関係なく自治体ごとに決められた定額を負担する「均等割」と、所得に応じた金額を負担する「所得割」のふたつで構成されています。
均等割は自治体によっても異なりますが、およそ年額5000円(市区町村税3500円、都道府県民税1500円)です。
所得割は前年の1月1日から12月31日までの所得に対して、都道府県民税4%と市区町村民税6%の合計10%が課税されます。
住民税非課税世帯に当てはまるのは、世帯全員が均等割と所得割のいずれも課税されない世帯ということになります。
住民税非課税世帯になる条件
住民税非課税世帯になる条件について、千葉市を例に見てみましょう。
【均等割も所得割もかからない方】
- 生活保護法による生活扶助を受けている方
- 障害者、未成年者、ひとり親または寡婦で前年の合計所得金額が135万円以下(前年の所得が給与所得だけの場合は、収入金額が204万4000円未満)の方
- 前年の合計所得金額が次の金額以下の方
1)扶養親族なし…前年の合計所得金額が45万円以下の方
2)扶養親族あり…前年の合計所得金額が35万円×(同一生計配偶者+控除対象扶養親族数+16歳未満の扶養親族数+1)+31万円以下の方
なお、住民税非課税世帯になる条件は自治体により異なることがありますので、詳しくはお住いの自治体に問い合わせてください。
住民税非課税世帯のための優遇措置
住民税非課税世帯には、次のようなさまざまな優遇措置が設けられています。
国民健康保険料の軽減
住民税非課税世帯は、申請すると国民健康保険料の減額を受けられます。申請できるのは、所得が少なく法令で定められた所得基準に満たない世帯や、失業や災害などの特別な事情により保険料を納付することが難しい世帯です。
自治体により減額・軽減割合が異なるため、詳しく知りたい方はお住いの地域の市区町村役所の国民健康保険窓口で相談してください。
国民年金保険料の減免
国民年金保険料は、収入の減少や失業などで保険料の支払いが困難な場合、申請すると減額・免除を受けられます。
所得に応じて全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除・納付猶予に分かれますが、将来受け取る年金額は保険料を全額を納付した場合と比べて低額になってしまいます。
年金受給額を増やしたい場合は、資金に余裕ができた際に追納することをおすすめします(ただし、追納できるのは過去10年以内の保険料に限られます)。
詳しい内容は、お住いの地域の市区町村役所の国民年金担当窓口で相談しましょう。
介護保険料の軽減
住民税非課税世帯に当てはまり、一定の所得基準を満たす場合などは介護保険料の減額を受けられます。
詳しい条件は自治体により異なるため、お住いの地域の市区町村役所の介護保険課等に問い合わせましょう。
大学などの修学支援制度
経済的な理由から大学等に進学することが困難な場合、「高等教育の修学支援制度」を利用できます。対象となるのは、住民税非課税世帯またはそれに準ずる世帯で、学ぶ意欲がある学生です。
具体的な支援内容は、「授業料・入学金減免」と「給付型奨学金の受給」の2つです。
「授業料・入学金免除」は、進学先の学校(大学や短大、専門学校等)や国立・私立かによって金額が異なり、たとえば私立大学の場合、約26万円の入学金と約70万円の授業料が減免されます。
「給付型奨学金」は進学先の学校や、自宅通学・自宅外通学かによって金額が異なります。たとえば、私立大学に自宅以外から通学する場合、月額7万5800円程度が支給されます。
2歳未満の保育料無償化
2023年11月現在、3歳から5歳の子ども保育料が無償化とされていますが、さらに住民税非課税世帯を対象に、0歳から2歳までの子どもの保育料も無償となっています。
幼稚園や保育所、認定こども園だけでなく地域型保育も同じように無償化の対象です。
まとめにかえて
住民税非課税世帯とは世帯全員が住民税の非課税となっている世帯のことです。住民税が非課税になるのは、生活保護を受けている世帯やひとり親世帯、所得が一定金額以下の世帯などです。
住民税非課税世帯の生活をサポートするために、さまざまな公的支援や優遇措置が設けられています。
制度を利用するにはそれぞれ条件が決められていますので、詳しくは市区町村役所の担当部署で相談してみましょう。
参考資料
- 総務省「地方税制度|個人住民税」
- 千葉市「よくあるご質問(FAQ):何万円以上収入があると税金が課税されるのでしょうか。」
- 国民健康保険の保険料・保険税について
- 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
- 大阪市天王寺区「介護保険料について」
- 独立行政法人日本学生支援機構「学びたい気持ちを応援します」
- 内閣府幼「幼児教育・保育の無償化概要: 子ども・子育て本部」
木内 菜穂子