2. 年収が高い人は老後も働くと損をする?
在職老齢年金は、年収が高いと年金カットをされる可能性があり、働くことで本来は受け取れるはずだった金額が減額されることから「損をしてしまうのでは?」と感じた方も少なくないでしょう。
確かに賃金が基準額を超えてしまう場合は年収がカットされてしまうケースもありますが、働くことで2つの収入源を得られることは、老後の安心材料になり得ます。
また、在職老齢年金の受給期間中は、厚生年金保険に加入し続けられるため、将来の年金額を増やすことも可能です。
「年金額が減ってしまう」ということだけに目を向け、収入源を年金1本だけにしてしまうと生活費をカバーしきれない可能性もあるため、週2〜3勤務といった働き方の調整をしながら在職老齢年金の利用を検討するのも良いでしょう。
また、厚生年金保険に加入せずに働く場合は、在職老齢年金の適用外となるため年金がカットされることはありません。
社会保険に加入義務のないパートタイマーとして働いたり、個人事業主として働いたりすることで、年金以外の収入源を確保しながら年金カットを気にせずに働くこともできます。
ご自身のライフプランを今一度見直し、どの選択をするのが自分にとって得になるのかを検討できると良いでしょう。
3. 在職老齢年金の制度を理解し検討をしておこう
本記事では、働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」について詳しく解説していきました。
在職老齢年金は、60歳以降に厚生年金保険に加入している人が「働きながら受け取る厚生年金」のことを指し、年金とあわせて別の収入源を確保できる制度です。
「老後は年金だけで生活していく」というのは昔のことになりつつある現代では、「働けるうちは老後も働く」という選択も検討しなければいけない可能性があります。
とはいえ、年収が高い場合は在職老齢年金の制度を利用することで、年金がカットされてしまうケースもあるため、今一度制度のメリット・デメリットを見直したうえで、利用の有無を検討できると良いでしょう。
年収が高い場合でも、年金カットされずに働く方法もあるため、本記事を参考にどの選択が自分にとって最良かライフプランの見直しをしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者」
- 日本年金機構「さ行 在職老齢年金」
- 日本年金機構「在職老齢年金の支給停止の仕組み」
- 日本年金機構「令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
和田 直子