生活保護は、やむを得ない事情により、生活が困窮した人に対して、最低生活の保障を行いながら、自立を助ける制度です。

生活保護制度で行われる最低生活の保障として「生活・住宅・医療・教育・介護・出産・葬祭・生業」の8つの扶助があります。

10月には生活扶助の基準額が改定になったばかりです。

このうち生活・住宅の2つの扶助には、「級地区分」をもとにした地域差があります。

今回は、級地区分による基準額の違いについて説明します。

地域ごとに同一の生活水準を保障する「級地区分」とはどんな制度?

生活保護の基準額には、「級地区分」をもとにした地域差があります。

級地区分とは、生活保護法第8条2項を根拠に、各地域における物価差などの実態に合った同一の生活水準を保障する観点から設けられました。

次は、「生活保護法 第8条2項」とはどのような内容なのか、そして実際の級地区分にはいくつの区分があり、どんな地域が該当するかを確認してみましょう。

生活保護法 第8条2項

・第8条:保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。

・2項:前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。

引用:e-Gov法令検索「生活保護法」

実際の級地区分は?

では、実際の級地区分はどうなっているのでしょうか。

実際の級地区分は、日本全国を1級から3級地に分類して、その各地域を「1級地-1」「1級地-2」と2つに分けます。

1~3級地をそれぞれ2つに分けるため、合計6段階で級地を区分することになっています。

東京都の場合のみを以下で確認してみましょう。

【1級地-1】

区の存する地域、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、多摩市、稲城市、西東京市

【1級地-2】

青梅市、武蔵村山市

【2級地-1】

羽村市、あきる野市、西多摩郡瑞穂町

【2級地-1】【3級地-1】【3級地-2】

該当なし

おおまかに区切るとすれば、1級に該当するのは大都市圏エリア、2級以下は地方エリアとなります。

東京都以外の地域の詳細は、厚生労働省のホームページに級地区分の資料が公表されています。

その中で、ご自身が住んでいる地域の級地区分を確認することができます。

次は、実際、級地区分ごとでどのくらい差があるのかを確認します。

その前に、簡単に生活保護制度についておさらいしましょう。

生活保護制度の要件及び生活扶助の内容

生活保護は世帯単位で行われ、持っている資産、能力等あらゆるものを活用することを前提として必要な保護が行われます。

生活保護を受ける方は、以下のような状態の方が対象となります。

  • 不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない。

たとえば、自動車は資産となるので、生活費を捻出するために原則処分することになります。

しかし、障害をお持ちの方の通勤、通院等に必要な場合等は、例外的に自動車の保有を認められることがあります。

  • 就労できない、又は就労していても必要な生活費を得られない。
  • 年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない。

このような状況で、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、生活保護を受けることになります。

生活保護で受けられる扶助

生活保護制度で受けられる給付は、生活をしていく上で必要となる8つの扶助があります。

  1. 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)
  2. 住宅扶助:アパート等の家賃
  3. 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
  4. 医療扶助:医療サービスの費用(費用は直接医療機関へ支払)
  5. 介護扶助:介護サービスの費用(費用は直接介護事業者へ支払)
  6. 出産扶助:出産費用
  7. 生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
  8. 葬祭扶助:定められた範囲内で実費を支給

このうち、①生活扶助と②住宅扶助において、級地区分が採用されています。

首都圏と地方、級地区分でどのくらい差がでるの?

首都圏と地方での「級地区分」をもとにした地域差はどのくらいあるのでしょうか。

厚生労働省の資料をもとに、一般的なケースを確認しましょう。

【生活扶助基準額の例】(令和5年10月1日現在)

  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳)
    16万4860円(東京都区部等)/14万5870円(地方郡部等)
  • 高齢者単身世帯(68歳)
    7万7980円(東京都区部等)/6万8450円(地方郡部等)
  • 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)
    12万2460円(東京都区部等)/10万8720円(地方郡部等)
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳)
    19万6220円(東京都区部等)/17万4800円(地方郡部等)

生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法はとても複雑で、級地区分、世帯人数に応じた逓減率、扶養家族数、申請者に障がいがあったり、母子家庭だったりなどの要素も影響します。

上記の例は、級地区分だけが反映したものではない点をご注意ください。

なお、「住宅扶助」については、単身者であれば以下の範囲で支給されます。

  • 1級地:5万3700円
  • 2級地:4万5000円
  • 3級地:4万900円

生活保護の金額は個別のケースで異なる

生活保護で受けられる扶助は、人口の多い地域の首都圏は1級に該当して、地方に行くに従い、級地区分は下がります。

都会であればあるほど、扶助額は多いといえます。

生活保護の申請が気になるのであれば、迷わず、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当に相談しましょう。

参考資料