5000万円の住宅ローンを借りられる年収はいくらか

次に、5000万円の住宅ローンの審査に通るための年収を考えてみます。住宅ローンの審査の基準は金融機関ごとに決められていて、公表されていません。一般的には審査金利と返済負担率により借入限度額を計算するといわれています。

審査金利とは実際に適用される金利より高い審査のための金利で、返済負担率とは年収に占める借入金の返済額の割合です。

審査金利を1.88%、返済負担率を35%とした場合、年収400万円の人の借入限度額は以下のように求められます。

  • 100万円を35年で借り入れた場合の毎月の返済額:3251円
  • 年間返済可能額:400万円×35%=140万円
  • 月間返済可能額:140万円÷12カ月=約11万6666円
  • 借入限度額:11万6666円÷3251円×100万円=約3589万円

この条件の場合、年収400万円の人は約3589万円まで借りられると考えられます。同様にして年収500万円と600万円のケースを確認してみます。

  • 年収500万円:約4486万円
  • 年収600万円:約5383万円

借入限度額が5000万円になる年収は約560万円となります。

この金額は参考値であり、実際の住宅ローン審査では、金融機関ごとにさまざまな角度から審査が行われます。年収が条件をクリアしても審査落ちするケースもある点に注意してください。

無理なく返せる返済負担率と手取り年収は?

ここまでは金融機関で借入が可能な金額を見てきました。通常、借入限度額は額面年収で判断します。額面年収400万円の人の手取りは、(家族構成などで異なりますが)約320万円(月額約27万円)くらいでしょう。この収入から毎月約12万円の住宅ローンを返済するのは、難しい人もいるでしょう。

一般的に借入可能額と無理なく返済できる金額は異なるといわれ、手取り年収からの返済負担率は25%以下が望ましいとされています。ここからは、無理なく返済できる返済負担率から5000万円のローンを返済できる手取り年収を見ていきます。

手取り年収ごとの返済負担率を確認

金利1.88%、借入期間35年で5000万円の住宅ローンを借り入れた場合の、毎月の返済額は16万2568円です。ここでは、手取り収入に対する返済負担率を紹介します。

出所:計算結果をもとに筆者作成

【手取り年収:手取り月収(年収の12分の1):返済負担率】

  • 400万円:約33万円:約49.3%
  • 500万円:約42万円:約38.7%
  • 600万円:約50万円:約32.5%
  • 700万円:約58万円:約28.0%
  • 800万円:約67万円:約24.3%
  • 900万円:約75万円:約21.7%
  • 1000万円:約83万円:約19.6%

手取り年収700万円以下では返済負担率が25%を超えるため、無理のない返済は難しいと考えられます。教育費のピークなどで家計の支出が増えた際に、返済していけなくなるリスクがあるでしょう。

5000万円の住宅ローンを無理なく返済していくには手取り年収800万円、額面では1000万円以上の年収が必要といえます。手取りで1000万円あれば返済負担率が20%を切るため、ゆとりある返済ができるでしょう。