国土交通省の公表する不動産価格指数(住宅)の2023年6月分では、全国の住宅総合は前月比1.7%増の136.1となりました。不動産価格指数(住宅)は2020年頃から急激な上昇が続いており、住宅価格が高騰していることがわかります。物件価格の上昇を受け、高額の住宅ローンの借入を希望する人も多いでしょう。高額の住宅ローンを借りて、無理なく返せるか心配な人もいるかもしれません。
この記事では5000万円の住宅ローンを借りられる年収と、無理なく返済できる年収を解説します。
5000万円の住宅ローンを組んだ場合の毎月の返済額は?
最初に、5000万円の住宅ローンを組んだ場合の毎月の返済額と総返済額を見ていきましょう。固定金利1.88%、元利均等返済、ボーナス返済なしとします。なお、試算には金融広報中央委員会「借入返済額シミュレーション」を使用します。
【借入期間25年】
- 毎月の返済額:20万9018円
- 総返済額: 6270万5400円
【借入期間30年】
- 毎月の返済額:18万1823円
- 総返済額:6545万6280円
【借入期間35年】
- 毎月の返済額:16万2568円
- 総返済額:6827万8560円
5000万円の住宅ローンを返済する場合、借入期間35年でも毎月の返済額は約16万円となります。35年ローンでは毎月の返済負担を抑えられるものの、総返済額は借入期間25年よりも500万円以上多くなります。
この試算では長期固定金利を用いました。変動金利の場合、より低い金利の利用が可能ですが、返済途中での金利上昇を考える必要があります。
5000万円の住宅ローンを借りられる年収はいくらか
次に、5000万円の住宅ローンの審査に通るための年収を考えてみます。住宅ローンの審査の基準は金融機関ごとに決められていて、公表されていません。一般的には審査金利と返済負担率により借入限度額を計算するといわれています。
審査金利とは実際に適用される金利より高い審査のための金利で、返済負担率とは年収に占める借入金の返済額の割合です。
審査金利を1.88%、返済負担率を35%とした場合、年収400万円の人の借入限度額は以下のように求められます。
- 100万円を35年で借り入れた場合の毎月の返済額:3251円
- 年間返済可能額:400万円×35%=140万円
- 月間返済可能額:140万円÷12カ月=約11万6666円
- 借入限度額:11万6666円÷3251円×100万円=約3589万円
この条件の場合、年収400万円の人は約3589万円まで借りられると考えられます。同様にして年収500万円と600万円のケースを確認してみます。
- 年収500万円:約4486万円
- 年収600万円:約5383万円
借入限度額が5000万円になる年収は約560万円となります。
この金額は参考値であり、実際の住宅ローン審査では、金融機関ごとにさまざまな角度から審査が行われます。年収が条件をクリアしても審査落ちするケースもある点に注意してください。
無理なく返せる返済負担率と手取り年収は?
ここまでは金融機関で借入が可能な金額を見てきました。通常、借入限度額は額面年収で判断します。額面年収400万円の人の手取りは、(家族構成などで異なりますが)約320万円(月額約27万円)くらいでしょう。この収入から毎月約12万円の住宅ローンを返済するのは、難しい人もいるでしょう。
一般的に借入可能額と無理なく返済できる金額は異なるといわれ、手取り年収からの返済負担率は25%以下が望ましいとされています。ここからは、無理なく返済できる返済負担率から5000万円のローンを返済できる手取り年収を見ていきます。
手取り年収ごとの返済負担率を確認
金利1.88%、借入期間35年で5000万円の住宅ローンを借り入れた場合の、毎月の返済額は16万2568円です。ここでは、手取り収入に対する返済負担率を紹介します。
【手取り年収:手取り月収(年収の12分の1):返済負担率】
- 400万円:約33万円:約49.3%
- 500万円:約42万円:約38.7%
- 600万円:約50万円:約32.5%
- 700万円:約58万円:約28.0%
- 800万円:約67万円:約24.3%
- 900万円:約75万円:約21.7%
- 1000万円:約83万円:約19.6%
手取り年収700万円以下では返済負担率が25%を超えるため、無理のない返済は難しいと考えられます。教育費のピークなどで家計の支出が増えた際に、返済していけなくなるリスクがあるでしょう。
5000万円の住宅ローンを無理なく返済していくには手取り年収800万円、額面では1000万円以上の年収が必要といえます。手取りで1000万円あれば返済負担率が20%を切るため、ゆとりある返済ができるでしょう。
高額の住宅ローンを借りる場合の注意点
5000万円以上の高額の住宅ローンを契約する場合の注意点を解説します。
変動金利は金利上昇に注意
今回のシミュレーションは、現在のフラット35の金利を参考にして行いました。現在、変動金利の金利水準に大きな変動はありませんが、2022年からフラット35の金利は上昇しています。
住宅ローンで変動金利を選択する人は約70%と大多数を占めています。返済期間中に金利が上昇すると、借入残高の多い人ほど返済金額が増えます。変動金利を選ぶ人は常に金利動向への注意が必要です。
定年後に返済が続くプランも要注意
国土交通省のデータによると、住宅を初めて取得する年齢は30歳代後半から40歳代前半が多く、35年の住宅ローンを組むと返済が定年後も続きます。
退職金で繰り上げ返済を考える人もいますが、手元のお金がなくなってしまわないようにしましょう。40歳代で住宅ローンを組む場合、自己資金をできるだけ貯めて65歳までに返済し終わるプランにしたいところです。
ただし、返済期間を短くすると毎月の返済額も大きくなります。できるかぎり自己資金を入れて借入金額を少なくし、返済負担率を下げるように調整しましょう。
住宅ローンは無理なく返済できるプランを立てましょう
5000万円の住宅ローンは35年の返済期間でも10万円以上の返済額となり、年収によっては家計の中で返済の占める割合が高くなります。借入ができたとしても滞りなく返済を続けていけるとはかぎらず、慎重に判断する必要があります。
今回の試算では手取り年収が1000万円以上あれば、ある程度無理なく返済できる結果となりました。借入の際にはさまざまな状況を想定し、甘い見通しを立てないようにしましょう。


