4. 厚生年金や国民年金からは税金等が天引きされる
冒頭で触れましたが、公的年金(※)からも天引きされるお金があります。このため、「月額15万円」と思っていても、実際の振込額に落ち込んでしまうシニアもいるのです。
※遺族年金・障害年金は非課税です。
年金から天引きされるものは主に以下の3つです。
- 税金
- 介護保険料
- 健康保険料
上記の天引き額は、居住地や年金支給額によって異なります。
具体的にイメージしやすいよう、大阪府大阪市に住む76歳の女性(年金以外の所得はない)の例で試算してみましょう。
4.1 老齢年金から天引きされるお金1. 介護保険料
年金年額が18万円以上の場合、まず介護保険料が年金から天引きされます。
大阪市の場合、年金収入が180万円の方の介護保険料は年額10万6841円です。
※2021~2023年度の場合
介護保険料が年金から天引きされていることを一つの理由として、以下のお金も天引きされます。
4.2 年金から天引きされるお金2. 税金
収入が年金のみの場合は、所得税として年約2850円が源泉徴収されます。課税される方は、年金から天引きされると思っておきましょう。
また復興特別所得税(2013年1月1日~2037年12月31日まで、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税)も引かれます。
一方、住民税も約1万6000円が天引きされます。こちらは介護保険料が天引きされているなどの要件があるため、中には天引きされない方もいます。
ただし、この場合は普通徴収にて納付する必要があります。
4.3 老齢年金から天引きされるお金3. 国民健康保険料または後期高齢者医療制度の保険料
健康保険料も原則として年金から天引きされます。
「国民健康保険」と「後期高齢者医療制度」がありますが、今回は76歳の女性を例としていますので、75歳以上が対象となる後期高齢者医療制度の保険料が天引きされます。
大阪府後期高齢者医療広域連合の「保険料試算ページ」を用いて計算すると、保険料は年間約5万7300円です。
5. 厚生年金「額面15万円」の手取り額は約13万円
先ほどの例を用いて、厚生年金「額面15万円」の「手取り額」を計算してみましょう。
税金(所得税・住民税)・介護保険料・後期高齢者医療制度の保険料で年間約19万円が天引きされます。
厚生年金の年額180万円から天引き額19万円を引くと161万円が手取りの年額となります。
月額に換算すると、約13万4000円です。
15万円と思っていると、その差に落ち込んでしまうかもしれません。老後の収入の柱となる年金は、額面ではなく手取り額で想定しておきたいものです。
老後の資産形成に向けてマネープランを考える際にも、手取り額ベースで計算しましょう。
※上記は大阪市の税率を用いた概算です。天引きされる金額は事務処理上、年度途中に確定するため1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。