40歳代以降になると「老後を見据えてそろそろ本格的に貯蓄額を見直したい」と考える方も増えてきているかもしれません。
しかし、賃上げの兆しもあるとはいえ、昨今の物価高では余裕のある貯蓄が難しいのも現状です。
帝国データバンクが2023年10月4日に公表した「景気動向調査」によると、2023年9月の景気は、小幅ながらも広範囲の業種で悪化したとのことでした。
給料の上昇に追い付かないほどの物価高騰や節約志向など、多くの業界に広がる景気の悪化を受け、老後の資金計画はどうしたらいいのだろうかと不安をつのらせる40歳代・50歳代も多いのではないでしょうか。
本記事では、40歳代・50歳代「おひとりさま」の平均貯蓄額や手取りからの貯蓄割合を最新の統計から探っていきます。ひとつの目安としてぜひ参考にしてみてください。
40歳~50歳代「おひとりさま世帯」の貯蓄データ
まずは、最新の統計から40歳~50歳代「おひとりさま世帯」貯蓄の現況をチェックしていきましょう。
金融広報中央委員会が単身世帯を対象に調査した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」の結果から、具体的な数値がみえてきます。
40歳代「単身世帯」の貯蓄額は?
《平均・中央値》
平均657万円・中央値53万円
- 金融資産非保有:35.8%
- 100万円未満:14.8%
- 100万~200万円未満:5.9%
- 200万~300万未満:4.9%
- 300万~400万円未満:6.2%
- 400万~500万円未満:2.8%
- 500万~700万円未満:2.8%
- 700万~1000万円未満:3.1%
- 1000万~1500万円未満:7.7%
- 1500万~2000万円未満:2.5%
- 2000万~3000万円未満:4.0%
- 3000万円以上:5.9%
- 無回答:3.7%
50歳代「単身世帯」の貯蓄額は?
《平均・中央値》
平均1048万円・中央値53万円
- 金融資産非保有:39.6%
- 100万円未満:11.5%
- 100万~200万円未満:5.5%
- 200万~300万未満:4.4%
- 300万~400万円未満:3.0%
- 400万~500万円未満:1.9%
- 500万~700万円未満:3.0%
- 700万~1000万円未満:5.5%
- 1000万~1500万円未満:4.6%
- 1500万~2000万円未満:4.1%
- 2000万~3000万円未満:4.1%
- 3000万円以上:9.6%
- 無回答:3.3%
また「貯蓄ゼロ」世帯が40歳代は35.8%、50歳代は39.6%と二人以上世帯より割合が高いこともわかります。
貯蓄に対する考え方は人それぞれですが、おひとりさまであれば、老後に向けてある程度の備えをしておくと安心です。
この統計結果でとくに気になるのが、40歳代・50歳代ともに中央値は53万円であり、それぞれ平均値と大きな開きがあること。
平均とは「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」。そのため極端に貯蓄額が多い人がいると、平均がその金額に寄る傾向があります。
一方で中央値は、対象となるデータを小さいまたは大きい順に並べ、中央にある値を指しており、より実態に近いとされています。
一般的な貯蓄額の実態を知りたい方は、中央値を参考にすると良いでしょう。
40〜50歳代「おひとりさま世帯」は手取りから何%貯蓄している?
3/4
Liudmila Chernetska/istockphoto.com
40〜50歳代「おひとりさま」の貯蓄額を確認したところで、それぞれ手取りの何%を貯蓄に回しているかについてもみていきましょう。
金融広報中央委員会の調査によると、40歳代では16%、50歳代では13%を年間手取り収入から貯蓄に回しているようです。
《40歳代》
- 貯蓄割合平均:16%
- 貯蓄しなかった世帯:29.8%
《50歳代》
- 貯蓄割合平均:13%
- 貯蓄しなかった世帯:38.9%
その一方で、貯蓄しなかった単身世帯の割合は40歳代で29.8%、50歳代で38.9%にものぼります。
近年、物価高騰の一方で、給与は過去30年ほとんど変わらない傾向があります。必要経費の捻出がやっとの思い、貯蓄する余裕のない人が少なくないのかもしれません。
収入と支出のバランスは? 40〜50歳代「おひとりさま」の老後実態
大切なのは、収入だけではなく支出とのバランスです。
生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」の結果から、おひとりさまが老後に備えて必要な貯蓄額を試算していきましょう。
上記調査によると、夫婦で老後生活を送ることを想定したうえで必要と考える最低日常生活費は、月額で平均23万2000円でした。
夫婦2人で老後生活を送る上での最低日常生活費のため、おひとりさまの場合はこれよりも低い金額を想定してもよいでしょう。
上記を目安に設定した金額から年金受給額を引いた金額が、1ヵ月分の不足金額と考えられます。その金額分×老後の年数を計算すると、老後資金の目安を把握できます。
厚生労働省の調査した令和3年時点の平均寿命は、男性が81.47歳で女性が87.57歳。これも目安金額を計算する際の参考にできるでしょう。
しかしながら、上記の結果は生活の最低限必要な消費支出。老後は突然の病気や怪我といった、突発的な支出が出てくる可能性が高まる時期でもあります。
実際に、厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」では、年金のみの収入で生活している高齢者世帯は全体の44%と、半数にも満たない結果となっています。
やはり年金だけでの生活は、ハードルが高いもののようです。
40歳~50歳代のおひとりさまは、来たる老後についてもできる限り自衛していかなければなりません。まずは、自分の年金受給額と老後の必要経費を算出していきましょう。不足分の金額を明確にしたうえで、老後資金の準備をすることがポイントです。
老後に向けて今から準備をしておこう
公表された統計から40歳~50歳代「おひとりさま世帯」の貯蓄額をみてみると、中央値と平均に大きな差が生じていました。このことからも貯蓄の有無という点で二極化傾向にある状況がうかがえます。
将来受給する年金だけで過ごしていけるのであれば話は別ですが、年金だけで生活している人はそう多くはないこともわかります。やはり、貯蓄はあるに越したことはないようです。
ゆとりある老後生活を送るには「自分が受け取れる年金受給額」の正しい把握がポイント。「老後に不足する金額」を想定し、老後の準備をすることが大切です。
今のうちから老後に向け、不安の少ない老後生活が送れるよう備えておきましょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
- 厚生労働省「令和3年 簡易生命表の概況」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
荒井 麻友子