生鮮食品の買い物に、皆さんはどんな店を利用しているでしょうか。生鮮食品が充実しているスーパーマーケットでしょうか、それとも少量であれば近所のコンビニで済ますでしょうか。最近は、その選択肢の中にプロ向けスーパー(業務用スーパー)が入ってくる方もいると思います。
今回は、近年注目が集まっている、一般の人も買えるプロ向けスーパー「業務スーパー」を運営する神戸物産について見ていきます。
業務スーパーとは一体どのようなスーパーか
緑色の地に白抜きの「業務スーパー」という名前、そして「一般のお客様大歓迎」と書かれた看板を目にされたことのある方も多いかと思います。「業務スーパー」というネーミングですが、店舗に足を踏み入ると、そこにいるのは一般の買い物客らしき人ばかりにも見えます。
2017年10月末時点の「業務スーパー」の店舗数は780店舗で、2016年10月末時点の747店舗から30店舗以上も増えています。業務スーパーを展開する神戸物産は関西に拠点があるため、関西の236店舗を筆頭に関東に204店舗、その他の地方エリアに321店舗などとなっています。
神戸物産は2017年1月に中期経営計画を発表しており、その中で国内業務スーパーの店舗数を2016年10月末時点の747店舗から850店舗まで増やすことを目指すとしています。また、業務スーパー事業セグメントの売上高についても、2016年10月期の2,055億円から2,450億円への増加を目指しています。今後もまだまだ出店を強化させていく計画といえます。
神戸物産はどのような事業を展開しているのか
神戸物産には、「業務スーパー事業」以外に、中食や外食事業をFC方式で展開している「神戸クック事業」、ジー・コミュニケーショングループの事業を推進する「クックイノベンチャー事業」、再生可能エネルギーを扱う「エコ再生エネルギー事業」などがあります。
2017年10月期の決算を見てみると、連結で2,515億円の売上高のうち、2,170億円が業務スーパー事業、クックイノベンチャー事業が324億円、神戸クック事業が12億円、エコ再生エネルギー事業が5億円などとなっています。このように、神戸物産の売上高のほとんどが業務スーパーで占められていることが分かります。
また、同決算におけるセグメントごとの利益も見ておきましょう。連結の営業利益が158億円、業務スーパー事業は146億円、クックイノベンチャー事業が11億円、エコ再生エネルギー事業が0.2億円、神戸クック事業が▲1億円の営業損失となっています。ここでも神戸物産の大半の利益が業務スーパー事業からきていることが分かります。
神戸物産の株価を左右する同社の業績を振り返る
一般的に時価総額は、現在の収益規模と将来の利益の成長性をかけ合わせたものとして市場で値がつけられたものです。その時価総額を発行済株式総数で割ったものが株価です。
現時点での収益水準が大きくても、将来の成長性が期待されないと時価総額も大きくはなりません。逆に、現時点の利益規模が小さくても(時には赤字でも)、将来性があると期待されれば時価総額は大きくなります。
では、神戸物産の利益推移はどうだったのでしょうか。実は、過去5年で見ると非常に急激に拡大しています。
2013年10月期には20億円であった営業利益が、2017年10月期には146億円と約7倍にも成長しています。その間も対前年度比で減益になることなく成長を続けています。また、営業利益率も、2013年10月期に1.1%だったものが、2017年10月期には5.8%にまで拡大をしています。