厚生年金には、長期加入の特例と言われる、「44年特例」があります。
44年以上厚生年金に加入し退職した方が65歳になるまで利用できる方法とは、どのようなものなのでしょうか。
くわしくみていきます。
1. 老齢基礎年金と老齢厚生年金は65歳から
2023年現在では、厚生年金や基礎年金(国民年金)は65歳から受給できます。この他、繰上げ受給として最大60歳、繰下げ受給として最大75歳からの受給を選択することもできます。
前提として、老齢基礎年金を受給するためには、国民年金に10年(120月)以上加入しなければなりません。
国民年金保険料を支払ったり、免除されたり、厚生年金や共済年金に加入することで、65歳から老齢基礎年金を受給する権利が発生します(カラ期間も含まれますが年金額には反映されません)。
老齢基礎年金を受給できる方で、厚生年金(共済年金を含む)に1カ月以上加入した方は、65歳から上乗せで厚生年金を受給することができます。
ただし、働き方によっては繰上げ受給ではなくても、65歳以前に受給することができます。
次章でくわしく見ていきましょう。
2. 生年月日によっては年金を65歳より前からもらえる
老齢厚生年金を受給される方は、生年月日に応じて65歳よりも前から「特別支給の老齢厚生年金」を受給することができます。
これは年金の繰上げではありませんので、受給できる方は請求することで収入も増えます※。
※繰上げ受給をする場合、1カ月あたり0.4%ずつ受給額が減額します
下記のとおり、生年月日により受給できる時期に違いがあります。
これは以前の年金の制度が改正されたことにより、段階的に年金の支給開始年齢が上げられているため、このような支給開始年齢となっています。
受給開始時期を過ぎていても、年金請求時には過去に遡って受給することができますが、後になってもらっても繰下げにはなりません。
また、受給開始より5年経過すると時効により、消滅する可能性があるため、忘れないように早めに請求の手続きをしましょう。
3. さらに厚生年金に44年以上加入した場合
厚生年金の加入期間が44年(528月)以上ある場合、該当すれば、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分に加え、定額部分が同時にもらえるようになります。
- 厚生年金保険の被保険者期間が44年以上あり、厚生年金の被保険者資格を喪失(退職)している方。
- 障害の状態(障害厚生年金の1級から3級に該当する障害の程度)にあることを申し出た方(厚生年金の被保険者資格を喪失(退職)している方)。
- 厚生年金保険の被保険者期間のうち、坑内員(炭坑や鉱山で働く労働者)や船員であった期間が15年以上ある方。
例として、以下の例で見てみましょう。
高校を卒業し、19歳の年に就職したAさんは、転職も経験しましたが、ずっと厚生年金に加入し60歳を過ぎた今でも働いています。
年齢を重ねていくと働くこともしんどくなっていましたが、この特例を知ったおかげで、65歳まで働く予定を少しだけ、早めることにしました。
44年の特例があることで、体力的にも精神的にも安心することができます。
なお、定額部分の計算式は、1956年4月1日以降生まれの方で
1657円 ×乗率(1.000)×被保険者期間の月数(上限480月)となります。
Aさんの場合
1657円 ×乗率(1.000)×被保険者期間の月数480月=79万5360円(年間)
報酬比例部分に加え、この定額部分を受給できます。
4. 年金も加味して老後の働き方を考える
生年月日を見てみるとわかるように、特別支給の老齢厚生年金を受給できる方は少なくなりましたが、該当する方は請求することができます。
60歳を過ぎて働く方が増えていますが、体力的に働くのが大変になってくることもあるでしょう。
44年(528月)と考えると該当する方が少ないのですが、中学校や高校を卒業し、就職をされた方が退職した場合、該当することがあります。
2023年現在では男性の方は特別支給の老齢厚生年金を受給できる方も少ないのですが、生年月日が該当するのであれば受給することができます。
この特例に該当すれば、報酬比例部分がもらえる方は、定額部分も同時に受給することができます。
加給年金の要件も満たすのであれば、同時に加給年金を受給することができます。
特別支給の老齢厚生年金を受給している方が、この「44年特例」を使い、定額部分をもらう場合も65歳になるまでの数年ですが、今後の生活も考えて判断しましょう。
5. 老後に備える
もちろん、これからも厚生年金に加入し働き続ける方法もあります。
ご自身の体調と収入、働き方を考える良い機会だと思います。
年金事務所でも試算してもらえますので、年金記録も含めて確認してみましょう。

