ユニクロことファーストリテイリングの株価は今後どう推移する?

上昇か下落かを予想する材料とは

皆さんおなじみのアパレルブランド「ユニクロ」を運営するのはファーストリテイリング。同社は、現在では国内だけではなく、海外にもその拠点を展開し、2017年12月14日現在の時価総額は4兆円を大きく上回る企業となっています。

今回はそのファーストリテイリングの株価がどのように推移するのかを予想するために、様々な切り口で分析していきたいと思います。

ファーストリテイリングの株価を支える業績を振り返る

ファーストリテイリングの2017年8月期の実績は、売上収益(売上高)が1.8兆円超、営業利益は1,700億円超。営業利益率は10%には届かないものの、大きな売上高と高い収益性を実現している企業です。

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また、売上収益の内訳を見ると、国内ユニクロが約44%、海外ユニクロが38%、グローバルブランドが18%と、引き続き国内比率が40%を超えてはいますが、海外とグローバルブランドの比率が年々上昇しています。つまり、ユニクロは日本だけでなく、世界で存在感を発揮するアパレルブランドへと成長していることが分かります。

では、営業利益の内訳はどのようになっているのでしょうか。同じく2017年8月期の実績を見ると、国内ユニクロが52%、海外ユニクロが40%、グローバルブランドが8%となっており、売上収益の内訳と比べると国内ユニクロの占める比率が高くなっています。

今後、海外ユニクロの収益率が上昇すれば、ファーストリテイリング全体の収益を牽引することになっていくでしょう。

ちなみに、2018年8月期連結業績の会社予想(2017年10月現在)では、売上収益が2兆円超、営業利益が2000億円を目指しており、対前年度比でもさらに拡大させていこうとする狙いが見て取れます。

国内のユニクロ事業はどうなのか

2017年8月期の国内ユニクロ事業の売上収益は8100億円。営業利益は960億円で、営業利益率は10%を超えています。

既存店売上高は通期で対前年度比+1.1%増となりました。また既存店売上高の中身を見ると、客数が+2.9%増の一方で客単価が▲1.8%減と、客数は伸びたものの単価が下落。結果としては既存店売上高がプラスで着地したという構造です。

ちなみに、2018年8月期11月度の既存店売上高は+8.9%増(759店)。その内容は客数が+4.6%増、客単価が+4.2%増となっており、客の出足と単価がいずれも好調で高い既存店売上高を実現しています。

成長する海外のユニクロ事業

2017年8月期の海外ユニクロ事業の売上収益は7000億円を超えており、対前年度比でも+8%増という成長を実現しています。営業利益は730億円ですが、為替レートの変動による押し下げがなければさらに高い売上高成長になっていたという見方もできます。

また、海外の中でもグレーターチャイナ、東南アジア・オセアニア地区での成長が顕著となっています。特にグレーターチャイナの売上収益は3400億円超、営業利益も500億円を超えています。営業利益率が10%を超えていることを鑑みると、同社の中国におけるビジネスは非常にうまくいっていると評価できます。

そのグレーターチャイナの出店計画ですが、同社は2021年度に1000店舗を達成することを目標としています。2017年8月末時点では645店舗ですが、毎年100店舗の出店を継続していく予定で、その出店ペースで行けば数年後には国内のユニクロ店舗数を上回ることになります。

収益では苦戦したグローバルブランド

2017年8月期のグローバルブランド事業は売上収益が3400億円、営業利益は140億円と、国内外ユニクロ事業と比較すると収益性が劣り、全社で見れば同事業が収益の足を引っ張っているとも言えます。

同事業にはジーユー事業、セオリー事業等が含まれており、様々なブランドの集合体となっています。今後、これらのブランドの収益性が改善されれば、全社の収益が改善されることは言うまでもありません。

今後の株価の推移を考えるための材料

株価をけん引するのは言うまでもなく収益ですが、ここまで見てきたように同社はすでに国内外のユニクロ事業では高い収益率を実現しています。したがって、会社全体の収益を拡大させるためには、それらの事業の規模を拡大するというのが一つの解です。

ただ、同社では国内ユニクロ事業の営業利益拡大を追及しながらも、海外ユニクロ事業でさらに大きな営業利益の拡大を狙っています。海外事業をいっそう拡大することで会社全体の収益拡大を図るのは当然と言えるでしょう。

ユニクロの店舗展開をどう見るのか

小売業を分析する際に店舗展開やその数を見るのは基礎中の基礎ですが、同社の場合はどうなっているのでしょうか。

2017年8月期末時点では、ユニクロ事業全体で1920店舗。そのうち国内ユニクロ事業が831店舗、海外ユニクロ事業が1089店舗となっています。海外ユニクロ事業は対前年度末比で131店舗増えていますが、国内を見ると6店舗減少しています。ここからも、同社の事業拡大のスタンスが海外にあるというのが理解できるでしょう。

一方で気になるのが、グローバルブランド事業です。そのうちジーユー事業は2017年8月期末時点で店舗数が372店舗。セオリー事業が538店舗あります。いずれも対前年度末比でそれぞれ+22、+8店舗増となっており、店舗規模は拡大しています。

先に指摘したように、グローバルブランド事業の収益性改善は全社の収益性を改善させる上では効果があるために、今後同社からどのような施策が出てくるのかに注目です。

まとめにかえて

同社の株価を考える際には、海外ユニクロ事業の展開とグローバルブランド事業の収益性改善がポイントと言えそうです。

では、国内ユニクロ事業が安泰かといえば、そうでもないでしょう。ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイのようにECで事業を拡大し、ついにはプライベートブランド(PB)を展開する規模にまでなった企業もあります。

また、そのPBでもZOZOZUIT(ゾゾスーツ)という採寸のためのボディスーツを導入し、よりきめ細かな提案を可能とするテクノロジーの活用を狙うような競争も起きつつあります。

今後は、柳井正代表取締役会長兼社長が、「『業界』が消える」とプレゼンテーションでもコメントするように、これまで競合ではなかった企業との競争が生まれてくるかもしれません。そうした競争環境に直面した際の同社の業績は、EC事業がいかにうまく立ち上がっているかといった要素で大きく左右される可能性もあるでしょう。

青山 諭志

ニュースレター

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慶應義塾大学卒業後、国内大手及び外資系大手金融機関に合わせて10年以上勤務し、株式市場を中心にマーケット関連の仕事に従事。その後独立。金融機関では主にアナリストとして企業や産業調査活動に従事。調査内容としてはミクロ・セミマクロが主な分析対象だが、好きなのはマクロ分析。記事で取り扱うテーマはマーケット動向、企業分析といった株式市場関連の分析や貯蓄や投資といった個人の資産運用動向を取り扱う。最近は「富の分配」問題や「お金持ち」である富裕層研究にも時間を割いている。その他に興味のある分野はブロックチェーン技術とゲノム(ジーノム)。