認知症介護で知っておきたい【お金の管理3カ条】
次に、認知症による物盗られ妄想がある親への対応や、判断能力が衰えた方のお金の管理方法について、知っておいていただきたいことを3つ紹介します。
第1条:盗みの疑いをかけられても「否定しない」
物盗られ妄想は、記憶障害が原因で起こっているので、家族が反論しても本人を納得させることは難しいでしょう。
物盗られ妄想への家族の対応として大切なのは、盗みの疑いをかけられても否定せず、まずは落ち着いて本人の話に耳を傾けることです。
本人の不安な気持ちを受け止めて、なくした物を一緒に探しましょう。そして、見つかった時には共に喜び合うことも大切です。
すぐに忘れてしまうのであれば、少しの間一緒に探すふりをしながら、いろいろな話をしてほかのことに気を向けると、探し物を忘れてくれるケースもあります。
本人がひどく興奮している場合は、一度その場を離れて距離を取ることも必要です。無言で立ち去るのではなく「急ぎの用事があるので先に行かせて」などと断りを入れると良いでしょう。
なお、筆者の経験では、なくした財布や通帳はベッドのすきまや枕カバーの中、仏壇の引き出しの奥など意外な場所から出てくることが多いです。ご本人が着用している腹巻きの中から出てきたこともありましたよ。
第2条:無理やり取り上げない
認知症のためにお金の管理が難しくなったとしても、本人から財布や通帳を取り上げてしまうと、混乱やストレスによってさらに認知症が悪化してしまう可能性があります。
「長年お金を管理してきた」という自尊心を傷つけられると、家族に対する不信感が生じ、折り合いが悪くなることも実際によくみられます。
親の財布や通帳などを預かる際には、「お母さんのことは信頼している。でも、高齢者を狙った詐欺に遭わないために預からせて」などと、ご本人に理由をしっかり伝えることが大切です。
一定額の現金の管理は本人に任せるなど、親の意向も尊重して対応できると良いですね。