転職をするときに人は何を考えるのでしょうか。転職を考えたり、実際に転職をする動機は人によってさまざまでしょう。とはいえ、転職に対する期待や不安には何か共通する点があるかもしれません。今回はどのようなことを期待し、何が不安になるのかについて考えてみます。

はじめに

そもそも転職をするきっかけは何でしょうか。

キャリアアップし、より高い給与を手にしたいと思う人もいるでしょう。その一方で、仕事の内容や環境になじめずに早く今の職場から離れたいという人もいるでしょう。

大学生は就職活動をする中で企業研究をするものです。そのうえで希望の企業から内定をもらい、納得して入社しても2、3年で離職してしまう人が少なくないのが現実です。

こうした状況を学生の「情報収集不足」、また就職後の「ミスマッチ」と言ってしまえばそれまでですが、「仕事」はそれぞれの人に重要な”自分事”です。その仕事を変えるという状況におかれたとき、人はどのような期待や不安を持つのでしょうか。

転職で期待すること

転職をする際に、新たな職場や待遇で期待することは何でしょうか。

学生に人気のある国内金融機関に入社したものの、入社後わずか3年で外資系金融機関に転職したA氏。「外資で自分の力を試したかったし、その結果でより高い収入がほしかった」と言います。

新しい職場で自分がどこまでやれるのか、またその結果が金銭的にどれだけ評価されるかを期待したということかもしれません。

「ただ、社会人としてさらに経験を積んでいたら、当時と同じ判断をしたかどうかは分かりません」

A氏の言うように、社会人として3年というそれほど経験がない中で職場を変えるのは若さゆえの判断かもしれません。一方、社会人経験を積んでいたとしても大胆な転職をする人はいます。

B氏は大学を卒業して20年近く社会人経験を積んだ後、大手電機メーカーからベンチャー企業に転職しました。「待遇は下がりましたが、一度、急激に成長する企業で仕事がしてみたかった」と言います。

日本の電機産業はここ数年、苦境に直面した企業が多かったのは記憶に新しいところです。そうした状況で事業再生や新規事業開拓などに挑戦する機会もあるかもしれませんが、働く身としてはベンチャー企業など成長力が感じられる環境で挑戦してみたいということでしょう。

新しい転職先への期待も、年齢や自分の将来に見ているものによって判断が違ってくると言えます。

転職で不安なこと

では、転職で不安なことはなかったのでしょうか。

前出のA氏はこういいます。

「新卒として国内の金融機関に就職が決まったときは、家族や親戚のみんなが喜んでくれました。誰もが知っている企業でしたから。ところが、転職先の外資系金融機関を告げると、聞いたことのない会社だということで『大丈夫か』という反応をされました。正直ガッカリしましたね」

「『新しい職場では給与が上がるとはいっても、日本の金融機関と比べると雇用は安定しないんでしょう』という反応でした。自分は大丈夫だと思って転職を決めるわけですが、周りから良い反応がないことで心がぐらつきました」

大手企業からベンチャーに転職したB氏はどうだったのでしょうか。

「もちろん不安はありましたが、それまでの仕事の関係から転職先の役員は知っていましたし、前職の会社の人もその会社なら安心だと快く送り出してくれました」

期待と不安をどうコントロールするか

転職は、職場や職業を変えるわけですから自ら変化を起こすということです。つまり、新たに期待できることが増えると同時に、これまでの職場環境では考えられなかったことを自らが引き受けるということにもなります。

よって、転職で重要なのは自分の期待と不安のコントロールができるかということだとも言えるでしょう。

冒頭で、仕事は”自分事”だと触れましたが、家族がいる場合には必ずしもそれだけだとは言い切れないケースもあります。年収などの待遇面や勤務環境などを理由に家族に反対されることもあるでしょう。

男性が転職する場合の「嫁ブロック」といった表現もありますが、そうした言葉も家族の反対姿勢の一部を表しているのでしょう。

転職を考える際に、自分が新たに挑戦できることに軸足を置くか、または家族などの反応や金銭面などの待遇の優先順位を高くするかは人それぞれです。

ただ、変化にはリスクがつきものです。そこをいかに自分なりに整理をして、期待と不安をコントロールできるか。これが転職する際に必要不可欠なスタンスなのではないでしょうか。転職を経験された皆さんはどうお考えですか。

LIMO編集部