2017年1月から、20歳以上60歳未満のほぼすべての人が加入できるようになった個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)。掛け金が全額所得控除の対象になるなどといった節税メリットが注目され、2017年10月には加入者数が68万人を突破しています。

まもなく制度拡大から1年になります。今年は始められなかったという人も来年に向けてポイントをおさらいしましょう。

iDeCoは老後の資産形成を応援する制度

個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)は老後の資産形成を応援するための制度です。掛け金を加入者自らが拠出し、自分で商品を選んで運用していきます。

iDeCoで積み立てた資産はiDeCoに加入していた期間等に応じ、60歳以降に老齢給付金として受け取ることができます。

iDeCoのメリット

iDeCoでは長期間にわたって掛け金を積み立てながら運用していくことになります。大きな税制優遇も受けることができますし、銀行にただお金を預けているよりも効率的に老後のための資金を準備できる可能性があります。節税しながら老後に向けた資産形成ができるのは大きなメリットといえるでしょう。

具体的には次のようなポイントがメリットとしてあげられます。

メリット1:掛け金が全額所得控除の対象になる

iDeCoでは、個人が拠出した掛け金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。

所得税・住民税は、所得から基礎控除や配偶者控除などの各種所得控除の額を差し引いた課税所得から計算されるので、所得控除によって課税所得が少なくなれば、納める税金は少なくなります。つまり、掛け金が全額所得控除の対象であるiDeCoは節税につながり、お得になるのです。

メリット2:iDeCoでは運用益も非課税になる

通常、投資や運用で得た利益(運用益)には、約20%の課税がなされます。ところが、iDeCoでは、この運用益に対する税金がかかりません。

そのため、60歳まで続けるうちに、通常の投資よりも有利にお金を増やせる可能性があるのです。

メリット3:iDeCoは受け取り時にも税制面で優遇がある

iDeCoで積み立てた掛け金は、老齢給付金として原則60歳以降に受け取りが可能となります。これを一時金として受け取る場合は、退職所得控除が適用されます。iDeCoでは加入期間を勤続年数とみなし、それに応じた金額が控除されます(企業にお勤めだった場合は、退職金とiDeCoの合計額で計算し、受け取る額が退職所得控除の枠内に収まればまるまる非課税になります)。

また、年金として分割で受け取ることもできます。その場合は、雑所得(公的年金等)扱いとなり、他の公的年金等の収入との合算額に応じて公的年金等控除が受けられます。公的年金等の収入の合計額が65歳未満の場合は70万円まで、65歳以上であれば120万円までは税金がかかりません。

iDeCoを始めるときに注意点はあるの?

メリットが大きいiDeCoですが、気を付けておきたい点もあります。

積み立てたお金は60歳まで引き出せない

iDeCoは老後に向けた資産形成を行うための制度です。だからこそ税制優遇もされています。老後の資産形成が目的ですので、原則として60歳まで引き出すことはできません。必要なお金まで拠出してしまい、引き出せなくなったりしたら大変です。

60歳まで引き出せないことやその間におけるライフステージの変化も考えたうえで、無理のない範囲で積み立てていくことが大切です。そうすれば、半ば強制力を持って60歳まで積立と運用ができるこの制度はメリットのほうが多いといえます。

手数料や品揃えは金融機関によって違う

iDeCoを始める場合、銀行、証券会社、保険会社などの金融機関にiDeCo専用の口座を開設しなければなりません。口座を開設したい金融機関のサイトなどから資料を取り寄せて申し込みます。

ちなみに、どの金融機関で口座を開設しても税制面でのメリットに違いはありませんが、開設できる口座は1つだけです。後から変更することも可能ですが、変更にともなうデメリットも多いので、最初に十分比較したうえで慎重に選びたいものです。

最も注意しておきたいのは「手数料」と「商品ラインナップ」です。

iDeCo 口座には、①国民年金基金連合会に支払う手数料(年間1,236円)、②事務委託先金融機関手数料(年間768円)③iDeCo口座を開設する金融機関に払う運営管理手数料、という3つの手数料がかかります。

このうち、①と②はどの金融機関で口座を開設しても一定ですが、③の運営管理手数料は金融機関によって異なります。どの金融機関を選ぶかによっては手数料が年間数千円の違いになる可能性もあります。

また、投資信託で運用することを検討している場合は、投信信託の信託報酬もチェックしたいところです。わずかな違いに感じられても60歳までの長い期間では運用成果に大きな影響を与えます。

まとめ

いかがでしたか? 新しいことを始めるときに不安はつきものですが、悩んでいるうちに時間は過ぎていってしまいます。iDeCoで掛け金を積み立てていくときは、時間も大きな味方になってくれます。新年を迎えるこの機会に新たな一歩を踏み出してみるのはいかがでしょうか。

 

>>楽天証券のiDeCoについて詳しくみる(初心者でも厳選ファンドから選びやすい)

>>SBI証券のiDeCoについて詳しくみる(品揃え抜群。選べるファンドが多い)

LIMO編集部