4. 65歳以上「無職の夫婦世帯」に必要な老後資金はいくら?
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の平均的な家計収支において、毎月「2万2270円」の赤字が平均して発生することがわかりました。
それでは、65歳で現役を引退して老後生活を送る場合、上記の赤字分を補填するために、老後資金として必要な平均的な費用はいくらなのでしょうか。
厚生労働省の公表した「簡易生命表」によると、男女の平均寿命は下記の結果となっています。
- 男性:81.05年
- 女性:87.09年
上記を参考に、仮に65歳から老後生活を始め平均寿命まで生きた場合、約16年〜22年が老後期間となります。
その場合に不足する金額は、単純計算で「約355万〜489万円」です。
また、仮に100歳まで生きると想定した場合の不足金額は、約778万円となります。
明確な寿命は誰にも分かりません。だからこそ、老後資金を考えるうえでは余裕をもった資金準備が大切であり、上記の不足金額よりも少し多めに貯蓄しておきたいものです。
なお、上記の不足金額はあくまでも平均的な支出の赤字分のみを補填するための費用です。実際は「介護費用」や「ケガ・病気にかかる費用」なども必要になってきます。
介護保険や医療保険を利用する場合でも自己負担額はかかってくるため、「いざという時」を想定して、老後資金の貯蓄をしておくことをおすすめします。
5. 個人差がある年金額は、しっかりと確認&予測して
ここまで65歳以上「無職の夫婦世帯」の年金や平均貯蓄、支出について紹介しました。
あくまで平均値で確認をしているため、個人差があると理解しておく必要があります。しかし、物価高や高齢化などを考えると今よりもお金が必要になる可能性は高いでしょう。
年金だけで生活を賄うのは今後ますます厳しくなることが予想されます。老後を迎えるまでにどれだけ準備しておくかが重要です。
国や政府もNISAやiDeCoなど自分で準備をする施策を準備しているため、老後資金に不安を覚える方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
そのほかにも色々な制度や商品があるため、自分にあった方法を探すことから始めるのが良いでしょう。
いずれにせよ準備は早い内から行うのが鉄則。今回の記事が将来のお金事情を考えるキッカケになれば幸いです。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」
徳原 龍裕