東宝株式会社(東証プライム、9602、以下「同社」という)は、2023年10月11日、2024年2月期第2四半期連結決算(対象期間:2023年3月1日~2023年8月31日)を発表した。

主力の映画事業(映画およびアニメ)が好調で増収増益となった。

売上面ではアニメが貢献し、利益面では映画興行(TOHOシネマズ)の貢献度が高かった。

なお、同社の子会社であるTOHOシネマズ株式会社は、2022年3月より公正取引委員会による調査を受けていた。

2023年10月3日に、排除措置計画が公正取引委員会の認定を受け、一連の調査が終了したと公表している

東宝の当第2四半期連結業績

売上高を示す営業収入は、前年同期比+16.0%の1396億4200万円と大幅な増収となった。

また、営業利益は、前年同期比+18.4%の307億5200万円と増益であった。

営業収入および営業利益ともに、主力の映画事業の好調な業績が寄与した。

経常利益以下も、2022年2月期に計上した助成金の反動減があったものの、営業収入の増収が大きく増益となった。

  • 経常利益:前年同期比+8.8%の328億8100万円
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益:前年同期比+0.9%の217億5100万円

東宝のセグメント

同社は、「映画事業」「演劇事業」「不動産事業」を報告セグメントとしている。

東宝の「映画事業」

「映画事業」は同社売上の67.1%を占める主力事業である。

「映画事業」は3事業に分類されており、それぞれを見ていく。

【映画営業事業】

映画営業事業は、映画館への配給および劇場用映画の国内配信で構成される。

共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 黒鉄の魚影」が「名探偵コナン」シリーズ作品で初めて興行収入100億円を突破する大ヒットとなり、「君たちはどう生きるか」「キングダム 運命の炎」「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』」「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」「わたしの幸せな結婚」などヒット作品が多数となった。

また、傘下の東宝東和株式会社等が配給した「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」
が大ヒット、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」などもヒットした。

なお、主要作品の興行収入(2023年9月末時点)は以下のとおりである。

  • 君たちはどう生きるか:2023年7月14日公開、83億1000万円
  • キングダム 運命の炎:2023年7月28日公開、54億2000万円
  • ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE:2023年8月4日公開、53億7000万円

これらの結果、営業収入は前年同期比+22.6%の244億7400万円、営業利益は前年同期比+23.9%の96億1000万円となった。

【映画興行事業】

映画興行事業では、TOHOシネマズ株式会社等において、配給作品等を上映している。

当2Qの映画館入場者数は前年同期比+8.6%の2349万3000人と増加した。

また、エネルギー価格の高騰や人件費増加等により、2023年6月1日からTOHOシネマズの映画鑑賞料金を値上げした(一般鑑賞料金:1900円から2000円へ値上げ等)。

これらの結果、営業収入は前年同期比+16.0%の445億1600万円(前年同四半期比16.0%増)、営業利益は前年同期比+52.2%の81億1400万円となった。

【映像事業】

映像事業は、アニメ事業「TOHO animation」となる。

同社は、アニメーションを今後の成長ドライバーと位置づけ、アニメ事業「TOHO animation」を「第4の柱」とすべく注力している(こちらを参照)。

そのため、映像事業は別途後述する。

営業収入は前年同期比+30.4%の258億8000万円、営業利益は前年同期比+22.9%の51億600万円であった。

以上より、映画事業全体では、営業収入は前年同期比+21.3%の948億7200万円(前年同四半期比21.3%増)、営業利益は前年同期比+32.4%の228億3100万円となった。

東宝の「演劇事業」

帝国劇場において、大人気コミック「SPY×FAMILY」初のミュージカル化を実現し全席完売、「Endless SHOCK(Endless SHOCK / Endless SHOCK Eternal)」が盛況に推移、日本初上演として話題となった「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が満席となった。

シアタークリエにおいては、「RENT」「おかしな二人」「She Loves Me」「ダーウィン・ヤング 悪の起源」「SHOW BOY」「家族モドキ」等を上演し堅調に推移した。

以上の結果、演劇事業の営業収入は前年同期比+16.3%の97億700万円、営業利益は前年同期比+14.8%の12億6400万円となった。

東宝の「不動産事業」

【不動産賃貸事業】

不動産賃貸事業では、不確実性の高いオフィス市況が続くなか、保有物件の有効活用に努め賃貸用不動産の空室率は、当2Q末において0.5%となった。

以上より、営業収入は前年同期比+4.5%の145億3000万円、営業利益は前年同期比▲0.7%の60億3100万円であった。

【道路事業】

道路事業では、公共投資が底堅く推移しましたが、建設技能者の不足に加えて、労務費・資機材価格の上昇が継続する等、依然として予断を許さない状況が続いた。しかしながら、積極的な営業活動に努め堅調に受注を確保したが、採算性の高い工種の減少があった。

以上より、営業収入は前年同期比+0.6%の146億9000万円、営業利益は前年同期比▲12.7%の26億4100万円となった。

【不動産保守・管理事業】

不動産保守・管理事業では、人手不足や人件費・原材料費の増加が継続する一方、延期になっていた工事の実施等があった。

以上より、営業収入は前年同期比+10.9%の52億4200万円、営業利益は前年同期比+36.0%の5億7600万円となった。

以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は前年同期比+3.7%の344億6300万円、営業利益は前年同期比▲2.9%の92億5000万円となった。

東宝のアニメ事業「TOHO animation」

前述のとおり、同社は、アニメーションを今後の成長ドライバーと位置づけ、アニメ事業「TOHO animation」を「第4の柱」とすべく注力している(こちらを参照)。

ソース別に分類すると、「配信」「キャラクターライセンス」「劇場公開」の3ソースでアニメ事業「TOHO animation」売上の73.8%を占めるため、以下では3ソースについて記載する。

東宝のアニメ事業「TOHO animation」の「配信」

「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」が伸長し、配信は前年同期比+75.5%の53億9200万円と大幅な増収となった。

当3Q以降も、

  • X(旧Twitter)トレンドランキングで世界1位となったTVアニメ「葬送のフリーレン」
  • 2022年にTVアニメSeason 1が放送されると原作コミックとの相乗効果で一大ブームになったTVアニメ「SPY×FAMILY Season2」

などの作品が収益貢献するであろう。

東宝のアニメ事業「TOHO animation」の「キャラクターライセンス」

配信同様、「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」が伸長し、キャラクターライセンスは前年同期比+16.5%の34億3200万円と増収となった。

東宝のアニメ事業「TOHO animation」の「劇場公開」

「BLUE GIANT」「GRIDMAN UNIVERSE」が好調に推移して、劇場公開は前年同期比+3.7%の20億6200万円となった。

なお、当4Qには完全新作オリジナルストーリー「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」が公開となる。

東宝のアニメ事業「TOHO animation」国内・海外

アニメ事業「TOHO animation」は国内においても、前年同期比+28.4%の97億1000万円と大幅増収であった。

海外においては、前年同期比+85.8%の50億4200万円と驚異的な増収となっている。

当3Q以降も、「呪術廻戦」「SPY×FAMILY」「葬送のフリーレン」などが配信・キャラクターライセンスで伸長が予想される。

東宝の子会社であるTOHOシネマズ株式会社に対する公正取引委員会の調査

報道を受けて、2023年9月27日、同社は子会社であるTOHOシネマズ株式会社に対してが公正取引委員会の調査を受けていることを公表した

違反被疑行為の概要は、TOHOシネマズ株式会社が映画配給会社に対して、他の興行会社よりも有利に取り扱うよう要請するとともに、当該要請に従わない場合には今後当該配給会社に係る映画作品の上映に応じない旨等を伝えたというものであった。

2023年10月3日、TOHOシネマズ株式会社が提出した排除措置計画について公正取引委員会の認定を受けたことで、公正取引委員会の調査が終了したことを公表した

なお、公正取引委員会による今回の確約計画の認定は、TOHOシネマズが独占禁止法の規定に違反したことを認定したものではないとしている。

東宝の業績予想の修正

上期の好決算を受けて、通期の業績予想を以下のように上方修正した。

  • 営業収入:+3.8%の2700億円
  • 営業利益:+11.1%の500億円
  • 経常利益:+12.5%の540億円
  • 親会社株主に帰属する当期純利益:+16.1%の360億円

東宝の配当

剰余金配当は、

  • 中間配当:前期と同額の1株あたり20円
  • 期末配当:前期と同額の1株あたり40円

として、年間配当も前期と同額の1株あたり60円を予想している。

配当予想の修正はない。

東宝の株価

2024年2月期第2四半期連結決算の発表前となる、2023年10月11日の終値は5133円であった。

年初来高値は、2023年7月14日の5933円である。

参考資料