東宝のアニメ事業「TOHO animation」
前述のとおり、同社は、アニメーションを今後の成長ドライバーと位置づけ、アニメ事業「TOHO animation」を「第4の柱」とすべく注力している(こちらを参照)。
ソース別に分類すると、「配信」「キャラクターライセンス」「劇場公開」の3ソースでアニメ事業「TOHO animation」売上の73.8%を占めるため、以下では3ソースについて記載する。
東宝のアニメ事業「TOHO animation」の「配信」
「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」が伸長し、配信は前年同期比+75.5%の53億9200万円と大幅な増収となった。
当3Q以降も、
- X(旧Twitter)トレンドランキングで世界1位となったTVアニメ「葬送のフリーレン」
- 2022年にTVアニメSeason 1が放送されると原作コミックとの相乗効果で一大ブームになったTVアニメ「SPY×FAMILY Season2」
などの作品が収益貢献するであろう。
東宝のアニメ事業「TOHO animation」の「キャラクターライセンス」
配信同様、「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」が伸長し、キャラクターライセンスは前年同期比+16.5%の34億3200万円と増収となった。
東宝のアニメ事業「TOHO animation」の「劇場公開」
「BLUE GIANT」「GRIDMAN UNIVERSE」が好調に推移して、劇場公開は前年同期比+3.7%の20億6200万円となった。
なお、当4Qには完全新作オリジナルストーリー「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」が公開となる。
東宝のアニメ事業「TOHO animation」国内・海外
アニメ事業「TOHO animation」は国内においても、前年同期比+28.4%の97億1000万円と大幅増収であった。
海外においては、前年同期比+85.8%の50億4200万円と驚異的な増収となっている。
当3Q以降も、「呪術廻戦」「SPY×FAMILY」「葬送のフリーレン」などが配信・キャラクターライセンスで伸長が予想される。
東宝の子会社であるTOHOシネマズ株式会社に対する公正取引委員会の調査
報道を受けて、2023年9月27日、同社は子会社であるTOHOシネマズ株式会社に対してが公正取引委員会の調査を受けていることを公表した。
違反被疑行為の概要は、TOHOシネマズ株式会社が映画配給会社に対して、他の興行会社よりも有利に取り扱うよう要請するとともに、当該要請に従わない場合には今後当該配給会社に係る映画作品の上映に応じない旨等を伝えたというものであった。
2023年10月3日、TOHOシネマズ株式会社が提出した排除措置計画について公正取引委員会の認定を受けたことで、公正取引委員会の調査が終了したことを公表した。
なお、公正取引委員会による今回の確約計画の認定は、TOHOシネマズが独占禁止法の規定に違反したことを認定したものではないとしている。
東宝の業績予想の修正
上期の好決算を受けて、通期の業績予想を以下のように上方修正した。
- 営業収入:+3.8%の2700億円
- 営業利益:+11.1%の500億円
- 経常利益:+12.5%の540億円
- 親会社株主に帰属する当期純利益:+16.1%の360億円
東宝の配当
剰余金配当は、
- 中間配当:前期と同額の1株あたり20円
- 期末配当:前期と同額の1株あたり40円
として、年間配当も前期と同額の1株あたり60円を予想している。
配当予想の修正はない。
東宝の株価
2024年2月期第2四半期連結決算の発表前となる、2023年10月11日の終値は5133円であった。
年初来高値は、2023年7月14日の5933円である。
参考資料
- 東宝株式会社 2024年2月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 東宝株式会社 2024年2月期 第2四半期決算説明資料
- 東宝株式会社 「一部報道について」
- 東宝株式会社 「公正取引委員会による調査終了に関するお知らせ」
- 公正取引委員会 「(令和5年10月3日)TOHOシネマズ株式会社から申請があった確約計画の認定について」
石川 貴康