3. 猶予分は追納しないと年金額が少なくなる

学生納付特例制度は、あくまでも学生である期間の国民年金の納付を「猶予」するものであり、「免除」するものではありません。

納付猶予を受けた期間は、将来国民年金などを受給するために必要な「受給資格期間」にはカウントされますが、受給額には反映されません。決められた期間内に「追納」しなければ、国民年金の受給額を増やすことができないのです。

3.1 「追納」をして年金額を増やそう

学生納付特例制度によって猶予を受けた期間の国民年金保険料は、追納(後払い)することで将来受け取る国民年金の金額を増やすことができます。

また、追納した保険料は年末調整や確定申告時の「社会保険料控除」の対象となるため、所得税や住民税の節税にも役立ちます。

ただし、追納できるのは過去10年分までです。

保険料は原則として追納申請時の金額ですが、免除を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降の保険料には、元々の保険料に加算額が上乗せされます。

3.2 追納しないと年金はどのくらい減額される?

保険料を追納しない場合、将来の年金額が減額されることになりますが、どのくらい減額となるのか計算してみましょう。

国民年金を満額受給できるのは保険料を40年間(480月)納付した場合で、令和5年度は満額で年間79万5000円を受給できます。

仮に20歳~22歳の間(2年間)免除を受け、なおかつ追納しなかった場合、保険料の納付月数は456月(480月-24月)で、受給額は75万5250円となり、満額よりも年間約4万円減額されることになります。

年金は老後の大切な生活資金となるため、少しでも多く受給できるよう、免除を受けた分は早めに追納することをおすすめします。

4. 学生納付特例制度まとめ

学生でも20歳以上であれば国民年金保険料を支払う義務がありますが、経済的な事情等で納付が難しい場合は、申請することで納付猶予を受けることが可能です。

しかし、猶予を受けた分は追納しないと将来受け取る年金額が少なくなってしまうため、期間内に忘れずに追納することが大切です。

参考資料

木内 菜穂子