2023年9月17日、総務省統計局が公表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、9月15日現在、75歳以上人口が初めて2000万人を突破し、日本の人口の10人に1人が80歳以上に。介護を必要とするシニア世代の数も増えています。

介護保険サービスや、介護休業・介護休暇など、お金や仕事に関する公的制度は一昔前と比べて格段に整備されてきました。とはいえ、家族や親族の連携が必要となる場面は決して少なくありません。

年長者を見守る「介護」は尊い行為ですが、心身面や経済面で負担が重いことも確か。家族・親族間の揉め事に発展することもよくある話です。

今回は2023年9月27日に公表された「親の介護に関する親族間の揉め事」ついての調査結果を見ていきます。

親の介護経験がある人の約4割が「親族間で揉めた」と回答

株式会社Speeeが運営する「ケアスル 介護」は、2023年9月27日に「親の介護に関するインタビュー」の結果を公表しました。

※親の介護に関するインタビュー「調査概要」※

  • 調査実施機関:インターネットリサーチ
  • 調査期間:2023年7月10日
  • 調査対象:250人(アンケート回答者は、事前アンケートで「親の介護経験がある」にチェックをつけた人を対象とする)

同調査によると、介護経験がある250名を対象とした調査の結果、約40%の人が親の介護をめぐり親族間で揉めたことがあると答えています。

親族間の揉め事の内容は、大きく分けると以下のようになっています。

  • 誰が介護をするか
  • 介護にかかる費用負担
  • 介護施設の入居
  • 介護方針の食い違い
  • その他(相続、延命治療など)の付随事項

親族間の揉め事「介護の押し付け」や「費用負担」も争点に

誰が介護をするかで揉めたケースでは、「介護を一方的に押し付けられた」「他の兄弟が関わらない」といった具体例が挙げられました。

また、介護にかかる費用負担で揉めたケースでは、「介護費用等に関するもの」「今後の介護の費用をどのように負担するか」が争点に。

介護方針の食い違い、そして介護のその先に起こる相続や延命治療などは、被介護者との関係性により異なる主張がぶつかりやすく、感情論になりがちな部分かもしれませんね。

また、施設入居に際して「叔母に、認知症の母親を施設には入れるなと言われた」など、いわゆる外野からの意見があったとの声も。

施設入所のきっかけトップは「病気や認知症の悪化」

介護施設への入所を検討し始めたきっかけ(複数回答可)

  • 病気や認知症が悪化した:42.4%
  • 在宅介護に限界を迎えた:37.2%
  • 自宅で転倒するなど、怪我をしてしまった:22.8%
  • 病院・リハビリ病院から退院後の在宅復帰:18.0%
  • 遠距離介護が困難だった:12.4%
  • 親族や知り合いに勧められた:9.6%
  • 本人の希望:8.8%
  • 家の住み替えのタイミング:0.8%
  • その他:1.6%

在宅介護から施設介護への切り替えは、介護生活の中で最もインパクトの強いステップです。経済的な負担が生じるだけではなく、心理的な葛藤が出てくる人も少なくないでしょう。

同アンケート結果では、介護施設への入居を検討し始めたきっかけとして「病気や認知症が悪化した(42.4%)」「在宅介護に限界を迎えた(37.2%)」「自宅で転倒するなど、怪我をしてしまった(22.8%)」などが上位回答に挙がっています。

ちなみに「親族や知り合いに勧められた」は9.6%、「本人の希望」は8.8%と低めです。病気や認知症、怪我といった健康上の理由から、在宅での介護に限界を感じて施設入所に踏み切るケースが多い様子がうかがえます。

【親の介護】親族が揉めないために、事前にできることとは?

今回紹介した「親の介護に関する調査」の結果では、親の介護を経験した人の40.8%が親族との揉め事を経験していることが分かりました。

その背景には、一方的な介護の押し付けや、介護費用の負担、さらには施設入所への反対意見などが、揉め事の原因として挙げられています。

介護に必要となる費用は、自宅介護か施設介護か、さらには入所した施設によっても大きく差が出ます。

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、平均的な介護期間は約5年ですが、これも個人差があるでしょう。

ちなみに内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、6割以上のシニア世代が将来介護が必要となったら自分の資産から捻出するつもりだと回答しています。

しかし、「要介護」は思いのほか突然やってくることも。さらに認知症により判断能力が低下した場合は、自分の資産を介護費用に活用することが難しくなる可能性は高くなります。

介護の形はさまざまですが、主たる「介護者である家族(主に子ども)」と、「介護される本人やその同年代の親族」とでは、理想が食い違うことも多いでしょう。

さらにいうと「実現可能な介護」は、健康状態や資産の状況に大きく左右されます。

元気なうちに家族・親族が心地よい距離を保ちながら、そう近くはない将来に訪れる「介護」への目線合わせをして備えておくことができれば、幸せなのかもしれません。

参考資料

吉沢 良子