もうすぐお盆休みですね。

遠く離れて暮らす家族が集まる数少ない機会。思い出話に花を咲かせるとともに、シルバー世代がいるご家庭では、将来の「介護」に関する話題が出る場合もあるでしょう。

1/2

出所:厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」第2節 高齢期の暮らしの動向

出所:厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」第2節 高齢期の暮らしの動向

厚生労働省の「令和5年版高齢社会白書」では、介護施設等の定員数の推移をみることができます。中でも、特別養護老人ホーム(特養)の定員数は約58万6000人で、有料老人ホームに次ぐ数です。

民間よりも費用が安いうえに、一度入所すると終身で利用できるのが特別養護老人ホームのメリット。家族が介護施設に入居するときの候補として、特別養護老人ホームを検討している人は多いでしょう。

ただし、特別養護老人ホームへの入居には、向き不向きがあることも確かです。

そこで、本記事では、特別養護老人ホームに「向いている人・向いていない人」の特徴を解説します。合わせて、有料老人ホームとの違いも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

特別養護老人ホームに向いている人・いない人

特養入所に向いている人・向いていない人の特徴は、以下の通りです。

特養に向いている人

  • 要介護度が高い人
  • 所得が低い人
  • 待機期間が長くても問題ない人 

特別養護老人ホームは、常時介護が必要で、自宅での生活が難しくなった場合に入所できる介護施設です。

申し込みができるのは、原則、要介護3以上の方に限定されています。(要介護1・2は特例で入所できる場合がある)そのため、入所に向いているのは、寝たきりや重度の認知症などで、要介護度の高い方です。

また、特養は公的施設であるため、所得に応じて費用を軽減する制度が用意されています。入居一時金も必要ないため、所得が低い方でも安心して入所可能です。

このように安価な費用で利用できる特養ですが、人気が高く、待機者が多数いる施設も少なくありません。

また、入所は申し込み順ではなく、要介護度の高い人や自宅での生活が困難な人が優先されます。そのため、入所までの待機期間が長くなっても問題ないという方が、申し込むと良いでしょう。

特養に向いていない人

  • 介護度の低い人 
  • すぐに入居したい人
  • 医療依存度の高い人

前述したように、特養は介護度が高い人を受け入れる施設のため、介護度が低めで、自力での生活が可能な要支援と要介護1・2の方は原則として、入所できません。

また、一般的に待機期間が長いため、すぐに入居したい人にも不向きです。ただし、緊急性の高い人は、早く入所できる場合があります。

さらに、医療依存度の高い人は、特養入所の条件を満たしていても、入所できない可能性があります。

多くの特養では、看護師の配置は昼間の時間帯のみで、夜間は不在となります。また、生活施設であるため、対応できる医療的ケアの範囲も限定されます。

十分な医療的ケアの提供ができないため、医療依存度の高い方の入所は向いていません。医療的ケアが充実している別の施設を探しましょう。

特別養護老人ホームと有料老人ホームの違い

特別養護老人ホームへの入所を検討するときに、よく比較されるのが有料老人ホームです。
ここでは、特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いを紹介していきます。

以下は、特養と有料老人ホーム(介護付き・住宅型)の特徴を比較した表です。

2/2

出所:厚生労働省「介護報酬/4. 介護報酬の算定構造」「介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」/サービスにかかる利用料」、PwC コンサルティング合同会社「令和3年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分) 高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究 報告書」をなどを参考に、筆者作成

出所:厚生労働省「介護報酬/4. 介護報酬の算定構造」「介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」/サービスにかかる利用料」、PwC コンサルティング合同会社「令和3年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分) 高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究 報告書」をなどを参考に、筆者作成

上記の通り、特別養護老人ホームと有料老人ホームの決定的な違いは、運営主体です。

特養は、公的施設のため、自治体や社会福祉法人などが運営主体となります。

一方で、有料老人ホームは、民間施設のため、主に民間企業が運営しています。そのため、料金やサービス内容、入居対象者などは運営側が自由に決められる部分が大きく、施設ごとに特色が異なります。

特養と比べると費用は高めですが、サービスを充実させている施設も多いので、ニーズに合った施設が見つかりやすいでしょう。施設数も多く、比較的入居しやすいことも特養と異なる点です。

また、入居対象も自立〜要介護5までと幅広いので、要介護度の条件を気にすることなく申し込むことができます。

特別養護老人ホームと有料老人ホームのどちらを選ぶ?

今回は、特別養護老人ホーム(特養)に「向いている人・向いていない人」を解説したあと、特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いについても整理しました。

入居するご本人やご家族が「何を優先したいのか」考えて、どちらを選ぶかを選択すると良いでしょう。

例えば、「費用をできるだけ抑えたい」方は、特別養護老人ホームが向いています。ただし、待機期間が長くなる場合があることは把握しておきましょう。

「できるだけ早く老人ホームに入居したい」場合は、有料老人ホームが向いています。施設数が多いので、一般的に特養よりも早く入居できます。

なお「特別養護老人ホームに申し込みながら、順番が来るまで有料老人ホームで過ごす」ことも可能です。

入居するご本人や家族の状況によって、有料老人ホームに一時的に入居することも選択肢に入れると良いでしょう。

参考資料

 

中谷 ミホ