先日、日本生命が高度な専門性を持つ人材を確保するため、中途採用で最大5000万円程度の年収を提示する方針を明らかにしました。
日本人の平均年収458万円を大幅に上回る報酬なため、「そんなことあるの?」と耳を疑った方も多いのでは。
しかし、最近ではITやデジタル分野に長けた能力を持つ方を高い報酬で雇う企業も増えており、業種や職種間で年収の大きなギャップを感じる方も少なくないようです。
また、年収の程度の差は現役時代の暮らしぶりだけでなく、老後の年金受給額にも個人間での格差を生みます。
現役時代の収入が、老後に受け取る年金額に影響する話は、意外とご存知の方も多いです。
しかし、それがどのくらい影響するのか、つまり「現役時代の年収がいくらだと年金をどのくらい受け取れるのか」について分かっている方はそう多くはありません。
今回は、年金の高額受給者が現役時代にいくらぐらい収入があったのかについて見ていきましょう。
1. 厚生年金「月額30万円」の高額受給者は何パーセント?
厚生労働省が発表した「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金の平均年金月額の受給権者数を1万円のレンジで見てみましょう。
1.1 厚生年金:平均年金月額
- 全体:平均年金月額:14万3965円
- 男性:平均年金月額:16万3380円
- 女性:平均年金月額:10万4686円
※国民年金の金額を含む
全体の平均年金月額は約14万4000円ですが、男性はこれを上回る約16万3400円、女性はこれを下回る約10万5000円です。
また、女性は男性と比べて約6万円も少ないことも分かりました。
厚生年金は現役時代の年収や年金加入期間により年金額が決定する仕組みです。シニア世代が現役だった頃の女性の労働環境やワークスタイルを、厚生年金の年金額からも読み取ることができますね。
1.2 厚生年金:年金月額階級別の受給権者数
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
※上記の平均月額には国民年金部分を含みます。
厚生年金の年金月額階級別に受給権者数を見ると、月額1万円~30万円以上とバラつきがあることが分かります。
また、現役時代であれば額面で月収30万円という人は珍しくありませんが、老後に厚生年金を一人分として月額30万円以上受給する人は、1万4816人。なんと全体の0.1%程度です。
一般的に、国民年金より手厚いとされる厚生年金でも月額30万円を受給できる人はごくわずか。いったい、厚生年金の年金額はどのように計算されるのでしょうか。