病気やケガなどで所定の障害が残った場合、公的年金から障害年金が支給されます。
また、障害によって十分な収入が得られない場合、生活保護を受けられる可能性もあります。
両方の給付を受けられる可能性がある人は、どちらの申請をすればいいのでしょうか?
本記事では、生活保護と障害年金は一緒に時給できるかどうかについて解説します。
両方の受給権がある場合、どうすべきかも紹介しますので、申請に迷っている人は参考にしてください。
1. 生活保護と障害年金の違い
まず最初に、生活保護と障害年金の違いや概要について確認しましょう。
1.1 生活保護とは
生活保護は、収入がない(または少ない)人に「憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障」する国の制度です。
日常生活費(生活扶助)や住居費用(住宅扶助)、義務教育を受けるための費用(教育扶助)などに対し、最低限の金額(最低生活費)を保障します。
厚生労働省の「「生活保護制度」に関するQ&A」によると、最低生活費の目安は次の通りです。
収入がある場合は、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
自分が受給できるかどうか、いくらもらえるかについては、居住する地方自治体で確認しましょう。
1.2 障害年金とは
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に支給される公的年金です。
加入している年金制度や障害の状況などによって「障害基礎年金」と「障害厚生年金」のいずれか一方、または両方が支給されます。
たとえば、国民年金に加入している人の受給額(昭和31年4月2日以後生まれ、毎年更改)は、障害の程度によって次の通りです。
- 障害等級1級:99万3750円
- 障害等級2級:79万5000円
要件に該当する子どもがいれば、加算がつきます。
また、障害厚生年金1級・2級に該当する人は配偶者の加算がつくこともあります。
障害年金を受給できるかどうか、いくらもらえるかについては、最寄りの年金事務所で確認しましょう。
2. 生活保護と障害年金の併給
生活保護と障害年金の両方を受給する権利がある場合、両方を同時に受け取ることができるのでしょうか。
2.1 生活保護と障害年金は同時に受け取れる
生活保護と障害年金の受給要件を両方とも満たす場合、生活保護と障害年金の両方を受け取ることができます。
生活保護の申請は居住地の地方自治体の「生活保護担当窓口」、障害年金の申請は最寄りの年金事務所で行います。
2.2 障害年金を受け取ると生活保護は減額される
生活保護と障害年金の併給は可能ですが、障害年金を受け取ると生活保護の支給金額(保護費)は減ってしまいます。
障害年金の受給額は収入とみなされるため、保護費は最低生活費から障害年金の受給額を差し引いた差額となるからです。
たとえば、最低生活費が月15万円で障害年金の月額が8万円の場合、保護費は差額の7万円となります。
障害年金がもらえない場合、ほかに収入がなければ保護費は15万円となるため、手取り額は障害年金の有無にかかわらず同額です。
また、障害年金の額が保護費を上回る場合、保護費は支給されません。
3. 障害年金の請求は必要か?
障害年金を受給できても生活保護が減額されて手取りが同じになるなら、障害年金の請求は無駄だと感じる人もいるでしょう。
しかし、障害年金の請求が可能な場合、原則請求が必要です。主な理由を確認しましょう。
3.1 生活保護の審査で年金の受給可否が調査される
生活保護を受給するには、保護の決定のための調査があります。
現在の資産や収入のほかに、未請求の年金がないか、なども調査対象です。
生活保護は申請者の収入が最低生活費に足りない場合に支給されるものであるため、障害年金を受けられる場合は請求するのが本筋です。
3.2 障害年金に該当すると保護費に加算がつく
生活保護には「障害者加算」という加算があります。障害者加算は、障害年金の請求を行い所定の障害等級に該当すれば受けられます。
障害年金を受給してもしなくても手取りは変わらないと前述しましたが、障害年金の請求が認められれば、加算がついて手取りが増えることになります。
3.3 収入が増えても障害年金は受け取れる
生活保護は、収入が最低生活費を上回れば受給できなくなります。
一方、障害年金は収入に関係なく受給できるため、将来収入が増えたときに備えて、請求可能だと判断すればすぐに手続きすることをおすすめします。
4. 生活保護と障害年金のまとめ
要件を満たせば生活保護と障害年金は同時に受け取れますが、障害年金を受け取ると生活保護が減額となるため、手取りが増えないこともあります。
しかし、障害年金によって生活保護の加算がついたり、収入が増えても障害年金は継続して支払われるため、障害年金も同時に請求しましょう。
参考資料
西岡 秀泰