特別養護老人ホーム(特養)は、国や地方自治体などの公的機関が運営する施設であり、民間の運営する施設に比べて費用が安く設定されています。

2021年時点での定員数は約58万6000人で、介護施設等の中では有料老人ホーム(約65万6000人)に次ぐ規模です(※)。

「費用の安さが魅力」とも言える特養ですが、施設のタイプや所得によって思ったほど安く感じないケースがあることは、あまり知られていません。

今回は、意外と知らない特別養護老人ホームの費用の盲点について紹介していきます。

厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」第2節 高齢期の暮らしの動向

特養の意外な盲点①:ユニット型は利用料が高い

特養の利用料は、施設のタイプによって大きく異なります。

特養は大きく分けて、多床室(相部屋)が中心の「従来型特養」と、全室個室で10名以下の少人数グループで生活を送る「ユニット型特養」の2つのタイプがあります。

ユニット型特養は、従来型特養と比べると、月々の利用料が高く設定されています。

全室個室で設備も充実しているユニット型は、居住費や光熱費が割高となるため、その分を入所者が負担する利用料に反映しているのです。

具体的には、従来型多床室の利用料が月額8〜9万円に対し、ユニット型の利用料は月額12〜14万円です。ユニット型に入所した場合の自己負担は、多床室より月額4〜5万円高くなります(※)。

※負担限度額認定「第4段階(基準額)」で計算した場合の利用料の目安
※目安費用の内訳は「施設サービス費(1〜3割)+居住費+食費+日常生活費(理美容代など)」です

出所:厚生労働省「介護サービス情報公表システム

ユニット型の特養は利用料が高額となるため「年金の範囲内で利用料を支払いたい」と考える方は要注意です。

入所を希望する特養が、従来型かユニット型か確認したうえで、入所を申し込みましょう。