4. 【60歳代の貯蓄額】平均と中央値はいくらか
最後に、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」から、60歳代の貯蓄額を紹介します。
4.1 60歳代の貯蓄額
- 二人以上世帯:平均1819万円、中央値700万円
- 単身世帯:平均1388万円、中央値300万円
前出のシミュレーションから、夫婦2人暮らしの場合、年金月額19万円のケースで25年間に必要な老後資金は約2000万円となりました。
以前、老後2000万円問題が話題となりましたが、決して大袈裟な金額ではないことがこの試算からわかるでしょう。
しかし、60歳代の貯蓄額の割合をみてみると、老後の入り口となる60歳代で2000万円を準備できている人の割合は3割に満たないことがわかります(二人以上世帯)。
5. 老後資金に向けた具体的な対策を
年金額から老後の必要資金がわかると、漠然としていた老後資金というものが具体性を帯びてくると思います。
これまで見えなかったゴールが見えてくることで、モチベーションも高まるのではないでしょうか。
国は年金だけに頼らずに老後資金を自分たちで準備させるために、iDeCoやNISAなどの節税メリットがある制度の活用を促しています。
早くから始めれば、効果が大きくなるため、こうした制度を積極的に利用して老後対策を始めてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」
石倉 博子