2. 女性の老後対策とはどんなものがあるのか?

受け取る年金だけで生活をまかなえるようであれば、老後の対策はそれほど心配しなくても良いと思います。

しかし実際には年金だけでは生活できないという方も多いと思います。

今からできる老後対策はあるのでしょうか。どんな老後対策があるのか、見ていきましょう。

2.1 対策1:余裕資金は投資で増やす

【1】iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

iDeCoは、私たちが自分で老後資金を作りやすくするために国が作った税制優遇制度であり、毎月自分で決めた金額を積み立てて自分で運用し、原則として60歳以降に年金や一時金として受け取る制度です。

iDeCoの制度を利用することで、毎月の掛金が全額所得控除できるため、所得税や住民税を小さくする効果があります。iDeCoでは積立期間中に運用で得られた利益には税金がかからないしくみになっています。

また、iDeCoで積み立て運用して増やした資金を受け取るとき、かかる税金の負担も減らすことができます。

年金で受けとる場合は「公的年金等控除」、一時金で受けとる場合は「退職所得控除」の対象となり、かかる税金が小さくなるような計算式で算出することができます。

このように3種類の税制優遇を受けながら、将来の老後の資産も貯めることができます。

【2】つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)

NISAには投資方法が2つあり、株式投資や投資信託を購入する方法(一般NISA)と積立投資信託をおこなう方法(つみたてNISA)があります。

時間をかけて資産を増やすにはつみたてNISAがおすすめです。つみたてNISAは、年間40万円までの投資信託の積立投資で得られた利益にかかる税金を最長20年にわたって非課税にできます。

2024年からは制度が大きく変わり、年間投資枠は120万円に、生涯投資枠は1800万円まで拡大することなど、投資のチャンスが増えることが決まっています。

NISAの魅力とは、投資の利益にかかる税金が本来20.315%なのですが、NISA制度を利用して投資をすると利益に掛かる税金がゼロとなる点です。

この非課税期間が5年や20年と設定されていましたが、2024年からは期間の制限が撤廃されて、NISAを利用して税制優遇を無期限で受けることが可能となりました。

また、つみたてNISA用のメニューは金融庁がチェックしていて、厳しい基準を満たした投資信託を活用することができます。投資の知識がなく自信のないという方でも安心して資産形成に取り組めます。

2.2 対策2:65歳以降も働く

健康でいることが前提ですが、65歳以降も体力に合わせて働くことで、収入を得ることができます。月に5万円稼ぐことができれば、貯蓄の取り崩しのペースを遅らせることができます。

長く、自分の体力に合わせて働き続けることができるように得意分野に磨きをかけておくなど、準備ができるといいと思います。

2.3 対策3:年金支給開始年齢を繰り下げする

年金の受給を繰り下げることで、年金の受給額を増やすことができます。増額率は以下の式で算出できます。

  • 「増額率=0.7%×65歳に達した月から繰り下げ申出月の前月までの月数」

1カ月単位で繰り下げることができ、最大75歳まで繰り下げると最大84%が加算されることになります。

65歳以降も給与などの収入額で暮していけるうちは年金を受け取らず年金の繰り下げをすることで、将来受け取る金額が増えます。

年金受給額が増えるとそれだけ老後の生活が心強いものになるでしょう。

3. 女性の老後対策まとめ

平均寿命でみると女性の方が男性よりも6年ほど長く生きる傾向があり、それだけ老後の生活が長いということになります。

年金が老後の暮らしを支える柱となることは今後も変わらないことですが、その受給額は決して十分な額ではないことも考えておかなければいけません。このことから老後資産づくりを早めに始めることが大切だといえます。

また健康を保つように心がけることで65歳以降でも体力に合わせて働くことは可能です。

収入を得ながら年金と合わせて生活できるなら年金の支給開始年齢を繰り下げることで、年金受給額を増やすことができます。

今からできることのなかから自分に合った方法で、将来の自分のための対策をはじめておきましょう。

参考資料

高橋 禎美