「なぜ10月13日の支給分から年金の天引き額が増えているんだろう」と驚く人もいるかもしれません。

年度の途中でなぜ年金の天引き額が増えるのでしょうか。

多くの要因は所得の増加にあります。

本記事では、10月に天引き額が増えるケースを始めとして、いくつかの年金支給額が減額される要因を紹介しています。

将来年金を受給する現役世代の人も、あらためて年金の仕組みをよく理解しておきましょう。

1. 10月から年金天引き額が増えて手取り金額が減るケース

公的年金から特別徴収される税額の一つに、市民税や県民税があります。

前年に比べて収入が増えて税額が上がった場合、介護保険料や健康保険料もあがることになります。

こうしたお金は年金天引きされていますが、4月・6月・8月の年金支給時には反映が間に合いません。そのため、10月・12月・2月支給の年金天引き分で調整を行います。

このとき、10月から年金の手取り額が減るケースがあるのです。

年金振込通知書が届いたら、手取り額を確認するようにしましょう。

収入に変化がなければ10月から天引き額が増えて受給金額が少なくなる、という心配はありませんが、収入に変化があった場合は10月から受給金額が減る可能性があることを認識しておきましょう。

2. 年金が減額されるいくつかの要因

そのほか、年金受給中に支給額が減額されるケースを2つ紹介します。

2.1 在職老齢年金を受け取っている

厚生年金に加入して働きながらもらえる年金のことを、在職老齢年金といいます。

在職老齢年金を受け取る場合、老齢厚生年金の一部もしくは全てが支給停止になるケースがありますので、注意が必要です。

在職老齢年金は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が48万円以下の場合、全額受給することができますが、48万円を超えた分は、次の計算式で算出された支給停止額が在職老齢年金から差し引かれます。

支給停止額(月額)=(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×1/2

定年後に厚生年金に加入し続けるメリットは大きいですが、受給できる年金額が減る可能性もあることは認識しておきましょう。

※総報酬月額相当額は、次の計算式で算出されます

総報酬月額相当額=(その月の標準報酬月額)+(直近1年間の標準賞与額の合計)÷12

2.2 物価や賃金の増減によるマクロ経済スライド

年度ごとにマクロ経済スライドによって、年金受給額が減るケースもあります。

現在の年金制度は、働いている現役世代が納める国民年金保険料によって高齢者の年金支給を支えています。

しかし現在、現役世代の人口と高齢者の人口は逆三角形のような状態となり、アンバランスな状態です。

この人口構成の歪みによる現役世代の負担を軽減するために、マクロ経済スライドが導入されました。

2016年に成立した年金改革法では、2021年4月から名目手取り変動率がマイナスになり物価変動率を下回る場合、年金額に名目手取り変動率が用いられるようになっています。

物価が上昇せずに賃金水準が上がらない状態が続くと、年金の給付水準も下がります。

この場合、6月支給分から減額されることがあります。

賃金や物価の変動によって、年金受給額が下がるケースもあることを認識しておきましょう。

3. 現役世代の年金受給額が減る要因

現役世代の場合、国民年金保険料の支払いや手続きが原因で年金受給額が減ることもあります。

3つのケースをピックアップしました。

3.1 国民年金保険料の免除制度を使った

失業などが原因で一時的に国民健康保険料が支払えなくなった時は、保険料免除制度を申請できます。

申請後承認されると保険料の全額、もしくは一部の支払いが免除される制度です。

免除になった期間は老齢基礎年金の受給資格期間にカウントされますが、免除の金額に応じて、将来もらえるはずの年金受給額が少なくなることも覚えておきましょう。

免除された期間ごとの年金額は次のとおりです。

  • 全額免除→保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1
  • 4分の3免除→保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5
  • 半額免除→保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6
  • 4分の1免除→保険料を全額納付した場合の年金額の8分の7

3.2 国民年金保険料の未納期間がある

日本では国民年金の加入は義務となっており、保険料を納めている人にたいして老齢年金や障害年金、遺族年金が支払われます。

しかし、国民年金の未納期間がある場合、受け取れるはずの年金額は減額されます。

未納期間が長くなり保険料の納付期間が支給要件をクリアしていないと、障害年金や遺族年金が受け取れなくなるため、注意が必要です。

未納のままにしておくと督促状や催告状が届くようになり、最終的には財産の差し押さえが実行されることもあります。

3.3 繰上げ受給を利用する

基本的に老齢年金は65歳から受給がスタートしますが、繰上げ請求の申請によって、60歳から65歳になるまでの間に受給することもできます。

ただし、繰上げ受給をした場合、月単位で受け取れる年金額は減額されます。

減額率を算出する計算式は次のとおりです。

繰上げ請求した月から65歳の誕生日の前月までの月数×0.4%

最大で24%の減額にもおよぶ点を、よく認識しておきましょう。

減額率は一生変わることはなく、老齢厚生年金と老齢基礎年金は一緒に繰り上げされるため、もともと受給できるはずの年金額が減ることになります。

4. 年金受給額が減る要因を認識しておきましょう

10月から年金受給額が減る要因の多くは、所得増加による税金や控除額の調整によるものです。

後期の年金支給分にて増えた所得分の税額調整がおこなわれます。

その他、在職老齢年金に切り替わる際の減額や、年度ごとに社会情勢を起因とする減額が実施されることもあります。

現役世代の方は、年金保険料の未納や免除申請でも老後にもらえる年金額が減額されますので、できる限り追納して将来もらえる年金額を減らさないようにしましょう。

参考資料