2. 年金が減額されるいくつかの要因

そのほか、年金受給中に支給額が減額されるケースを2つ紹介します。

2.1 在職老齢年金を受け取っている

厚生年金に加入して働きながらもらえる年金のことを、在職老齢年金といいます。

在職老齢年金を受け取る場合、老齢厚生年金の一部もしくは全てが支給停止になるケースがありますので、注意が必要です。

在職老齢年金は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が48万円以下の場合、全額受給することができますが、48万円を超えた分は、次の計算式で算出された支給停止額が在職老齢年金から差し引かれます。

支給停止額(月額)=(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×1/2

定年後に厚生年金に加入し続けるメリットは大きいですが、受給できる年金額が減る可能性もあることは認識しておきましょう。

※総報酬月額相当額は、次の計算式で算出されます

総報酬月額相当額=(その月の標準報酬月額)+(直近1年間の標準賞与額の合計)÷12

2.2 物価や賃金の増減によるマクロ経済スライド

年度ごとにマクロ経済スライドによって、年金受給額が減るケースもあります。

現在の年金制度は、働いている現役世代が納める国民年金保険料によって高齢者の年金支給を支えています。

しかし現在、現役世代の人口と高齢者の人口は逆三角形のような状態となり、アンバランスな状態です。

この人口構成の歪みによる現役世代の負担を軽減するために、マクロ経済スライドが導入されました。

2016年に成立した年金改革法では、2021年4月から名目手取り変動率がマイナスになり物価変動率を下回る場合、年金額に名目手取り変動率が用いられるようになっています。

物価が上昇せずに賃金水準が上がらない状態が続くと、年金の給付水準も下がります。

この場合、6月支給分から減額されることがあります。

賃金や物価の変動によって、年金受給額が下がるケースもあることを認識しておきましょう。