3. 年金の繰下げ受給のメリットとは
繰下げ受給のメリットは年金額が増えるという点です。
国民年金は加入月数に応じて、厚生年金は加入月数だけでなく収入に応じて支払った保険料によって受給額が決まります。
年金を増やすことはなかなか難しいですが、繰下げ受給をすれば、増額された年金が一生涯支給されることになります。
先ほど平均寿命を見た通り、人生100年時代と言われる超高齢化社会ででは、毎月入る年金額が増えると心強いでしょう。
4. 年金の繰下げ受給のデメリット3つ
一方で、繰下げ受給のデメリットもあります。
4.1 損をする場合もある
繰下げ受給のデメリットの一つは、早く亡くなってしまうと損をするということです。
増額できても、もらう年月が少なければ損をしてしまう場合もあります。
単純計算で、一般的には繰下げ受給を開始してから約12年生きていないと損をしてしまうことになります。
4.2 所得税や社会保険料が引き上がる
年金の受給額が増えると、所得税や社会保険料が引き上がる場合があります。
手取り額は減少してしまうので、実際の受給額が思ったより増えないこともあります。
4.3 加給年金が受け取れないケースも
加給年金とは、厚生年金に20年以上継続加入かつ65歳未満の配偶者または18歳未満の子供がいる場合に受け取ることができる年金です。
加給年金は厚生年金を受け取っていることが支給の要件となっています。
つまり、厚生年金を繰下げした場合、加給年金を受け取ることができません。
加給年金を受け取ることができるケースでは、国民年金のみ繰下げて、厚生年金は繰下げせず受給することを検討しても良いでしょう。
5. 自分に合わせて慎重に検討を
年金を繰り下げる人は現状は少ないことがわかりました。
年金の繰り下げ受給には、一般的には単純計算で受け取り始めてから約12年以上生きいればメリットがあります。
判断が難しいところですが、今後「人生100年時代」に備える選択肢の一つとして活用される方は増えるかもしれませんね。
ただ、この年金の繰り下げ受給だけでは老後が心配な方も多いのではないでしょうか。
その時は、資産運用の活用を検討するのも一つだと思います。
資産運用はリスクも伴いますが自分自身に合った運用方法を見つけ、資産運用を始めていきましょう。
その方法として、国の税制優遇制度である「NISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」などの活用を検討するのもよいかもしれませんね。
また、長く働き続けることで、リタイア後の生活を遅らせるという方法もあります。
何が起こるかわからない現代においては、複数の選択肢をもち、対応していくとよいでしょう。
参考資料
西村 翼