55歳での早期退職を希望されているお客様から「平均寿命まで生きるのに必要な資金額を試算してほしい」というご依頼を受けたことがあります。

厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」によると、2022年時点での男性の平均寿命は「81.05年」、女性の平均寿命は「87.09年」でした。

2000年時点では、男性「75.92年」、女性「81.90年」でしたので、約20年間で平均寿命が5歳ほど延びていることになります。

ご相談にみえたお客様は男性50歳。果たして30年後、平均寿命が何歳になっているかは、分からないですね。

新聞のお悔やみ欄に、100歳超の方の名前を見つけることが珍しくなくなっています。

「人生100年時代」は現実に訪れつつあるようです。

人生が長くなれば、その分、生きるために必要なお金も多く必要です。長い老後生活を送るのに、どれくらいの資金を準備すればよいのでしょう。

いまのシニア世代の方たちにフォーカスして、貯蓄をどれくらい保有し、公的年金をどれくらい受け取っているかを確認してみましょう。

1. 70歳代以上「貯蓄3000万円超」の世帯は何パーセントいるのか?

近年は、定年退職後も働くシニアが増加傾向にありますが、70歳代以降は本格的な年金暮らしを始める人が多いようです。

そんな70歳代以上世帯の現在貯蓄高を見ていきましょう。

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)詳細結果-(二人以上の世帯)」によると、70歳代以上の貯蓄の平均額は「2411万円」です。

1.1 70歳代以上世帯の「貯蓄現在高」分布

70歳代以上世帯「187万4554世帯」の貯蓄事情を、貯蓄現在高ごとの世帯数で確認していきます。

70歳代以上世帯の平均貯蓄額:2411万円

  • 100万円未満:14万896世帯
  • 100万円~:6万4999世帯
  • 200万円~:6万426世帯
  • 300万円~:6万9205世帯
  • 400万円~:6万2104世帯
  • 500万円~:7万670世帯
  • 600万円~:5万2589世帯
  • 700万円~:4万9056世帯
  • 800万円~:6万433世帯
  • 900万円~:4万6408世帯
  • 1000万円~:10万9329世帯
  • 1200万円~:8万5755世帯
  • 1400万円~:6万9842世帯
  • 1600万円~:8万2145世帯
  • 1800万円~:5万9305世帯
  • 2000万円~:15万265世帯
  • 2500万円~:12万1065世帯
  • 3000万円~:17万7308世帯
  • 4000万円~:33万4754世帯

70歳代以上シニアの貯蓄額は「4000万円超」が17.86%と最も多く、次いで「3000万円超」が9.46%となっています。

「貯蓄現在高3000万円」以上でくくると、全体の約27%を占めるという結果に。

かつて話題となった「老後2000万円」問題は、平均的な夫婦二人世帯の場合、老後30年間で約2000万円不足するという試算結果に基づくものでした。

人生100年時代。70歳代からの30年間で3000万円もの貯蓄があれば「安心」と感じる人の方が多いかもしれません。

一方で、貯蓄現在高100万円未満の世帯は14万896世帯と7.94%もいるようです。

年金額や生活水準により世帯ごとに必要な貯蓄額は異なりますが、備えあれば憂いなしです。