3. 公的年金だけで暮らせる世帯は約4割という現実
ここまでは、老後に受け取れる年金の平均月額について紹介していきました。
年金の平均額を見て、中には「意外と少ない」「年金だけで生活していけるの?」と不安に感じた人もいるかもしれません。
生命保険文化センターの調査結果によると、老後の夫婦世帯が必要と考える「最低日常生活費」は月額平均23万2000円です。
もちろん年金収入は世帯によって差がありますが、公的年金だけで生活費をカバーできる世帯は、決して多数派ではないと言えるでしょう。
ちなみに厚生労働省が公表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金(※同資料では「公的年金・恩給」と記載)だけで暮らす世帯は、全体の44%です。
半数以上のシニア世帯は年金だけで暮らすことが難しく、働き続けたり貯蓄を切り崩したりする必要があることがうかがえます。
老後を見据えたマネープランを立てる場合、ご自身の年金額をまず把握してみることから始めてみましょう。
4. 健康寿命とともに「資産の寿命」を延ばす努力も
今回は公的年金である「厚生年金」と「基礎年金」の平均月額について整理しました。
基礎年金の全体の平均月額は「5万6368円」で、厚生年金の全体の平均月額は「14万3965円」となっていることがわかりました。
これらはあくまでも平均値。現役時代の働き方や収入などにより、実際に受け取る公的年金額には個人差が生じます。ご自身の年金見込み額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認してみましょう。
老後の暮らしが年金でカバーできる世帯が少ないという現実も、知っておく必要があるかもしれませんね。
「人生100年時代」に老後を過ごす現役世代には、健康寿命とともに資産の寿命を延ばす心構えも求められることとなるでしょう。
預貯金をしっかりと確保するとともに、資産運用でお金を育てる視点を持つのもよいでしょう。「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」などの税制優遇制度を活用するのも一案です。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 公益財団法人生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?|リスクに備えるための生活設計 ひと目でわかる生活設計情報」
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
奥田 楓也