老後は自分の好きなことに時間を使えるようになるため、「あれをしたい、これもしたい」などと思いを巡らせている方もいるでしょう。
時間の制約を受けず、趣味や好きなことに没頭できるのは老後生活の醍醐味のひとつです。
しかし、その一方で心配になるのが年金のことでしょう。
老後の生活費は年金がメインとなる世帯が多いため、どのくらいもらえるのかで経済的な不安も異なってきます。
具体的にいくらもらいたいかは人それぞれですが、「20万円以上もらえればいいな」と考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、厚生年金だけで月20万円以上もらえる方はどのくらいいるのか、また、月20万円以上をもらうには現役時代に年収がいくら必要なのかについて解説します。
1. 厚生年金の平均受給額は約14万6000円
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 によると、令和3年度における厚生年金の平均受給額は、14万5665円です。
月額20万円をもらうには、平均よりも約5万4000円多く受給する必要があります。
下表は、男女別の平均厚生年金受給額と、20万円までの不足額をまとめたものです。
男性の平均受給額は16万3380円、女性は10万4686円となっており、男女間で約6万円の差が生じています。
また、月額20万円を達成するには、男性で約3万6000円、女性で9万5000円を多く受給する必要があり、特に女性は月額20万円をもらうのは難しいといえます。
では、実際に厚生年金を月20万円以上もらえる方はどのくらいいるのか、次章で詳しく見ていきましょう。
2. 厚生年金「月20万円以上もらえる人」は約15.5%
まずは、厚生年金月額ごとの男女別の人数の割合をまとめた下表をご覧ください。
厚生年金受給者のうち、年金を月20万円以上もらっているのは、受給者全体の約15.46%です。
細かく見ると、「20万円以上25万円未満」が約13.81%、「25万円以上30万円未満」が約1.56%、「30万円以上」が約0.09%です。
また、男女別に見ると、男性で月20万円以上もらっているのは約22.49%で、女性では約1.23%という結果となっています。
男性の4.5人に1人は20万円以上を受給できているのに対し、女性や100人に1人程度しかいないことがわかります。
まとめると、厚生年金を月20万円以上もらっている方は受給者の約15.46%ですが、その多くは男性が占めているということになります。
2.1 【厚生年金】男性と女性で受給額が異なる理由
厚生年金の受給額は、現役時代の年収や厚生年金への加入期間などによって決まります。一般的に、年収が高いほど、また、加入期間が長いほどもらえる年金額も高額になります。
女性は、男性と比較して結婚や出産などを機に退職したり勤務時間を短縮したりして、収入が減ったり加入期間が少なくなったりする傾向があります。
子育てがひと段落してから再就職しても、以前のような給与水準に戻ることは難しいケースも少なくありません。
こういった事情から、女性の方が厚生年金受給額が少なくなる傾向があると考えられます。
3. 厚生年金を月20万円以上もらうには年収はいくら必要?
前章で、厚生年金を月20万円以上もらうのは簡単なことではないことがわかりましたが、実際に月20万円をもらっている方は、現役時代にどのくらいの年収を得ていたのでしょうか。
具体例を用いてシミュレーションしていきます。
3.1 約732万円の年収が必要
シミュレーションは以下の条件を元に行います。
- 厚生年金加入期間:40年間(平成15年4月以降)
- 国民年金受給額:満額79万5000円
厚生年金を月20万円もらうと年額では240万円になります。このうち、国民年金分が79万5000円含まれているため、差し引くと厚生年金だけで160万5000円もらう必要があります。
厚生年金額は「平均標準報酬額×5.481/1000×(平成15年4月以降の加入期間の月数)」の計算式で求めることができます。
「160万5000円=平均標準報酬額×5.481/1000×480月」と立式でき、計算すると平均標準報酬額は約61万円で、年額に換算すると約732万円になります。
つまり、厚生年金を20万円もらうためには、現役時代に40年厚生年金に加入して、約732万円の年収が必要という結果になりました。
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、平均給与は443万円となっているため、40年間通して平均732万円の年収をキープすることは簡単なことではないといえるでしょう。
3.2 「加給年金」 が加算されるケースもある
厚生年金の加入期間が20年以上ある方が65歳に到達した時点で、生計を維持している配偶者や子どもがいる場合、加給年金が加算されます。
加給年金の加算対象になれば、年収が732万円まで届かなかった方でも厚生年金を月20万円受給できる可能性があります。
配偶者や子どもの年齢に制限がありますが、該当すれば配偶者と第1子・第2子それぞれに22万8700円が加算され、第3子以降の子には各7万6200円が加算されます。
また、配偶者加給年金には年金受給者の生年月日に応じて3万3800円から16万8800円が特別加算され、最大で39万7500円が受け取れます。
4. 公的年金以外の備えも検討を
厚生年金を月20万円以上もらえる人は、全体の約15.5%に過ぎません。
また、月20万円以上を実現するには、現役時代の平均年収が732万円程必要で、平均給与443万円と比較して約300万円多い年収を得なくてはなりません。
年金だけで月20万円以上をもらえない場合は、定額積立預金をすることや、つみたてNISAやiDeCoなどで資産運用することなどで、老後資金を準備することを検討してみましょう。


