2022年4月には年金制度が改正され、最大75歳まで年金の受給を繰下げられるようになりました。
1ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ年金は増えるので、もし75歳まで受給を待てば、年金を大幅に増加させられます。
一見夢のような制度ですが、注意すべき落とし穴が存在します。年金を増やすことだけを目標にした夫婦に訪れる悲劇について見ていきましょう。
1. 繰下げ受給のしくみとは
公的年金には国民年金と厚生年金があり、どちらも原則65歳からの受給となります。
しかし、66歳以降に遅らせることで、受給額をアップさせることができます。これを年金の繰下げ受給といいます。
増加率は1カ月遅らせるごとに0.7%なので、1年間遅らせると8.4%です。
2022年4月以降は75歳(10年間)まで拡大されたので、最大で84%も増やすことができます。例えば月額10万円の年金だった場合、75歳まで待機すれば18万4000円になります。
夢のような制度である一方、「では75歳まではどう生活したらいいの?」「長生きできる保障はない」と感じた方もいるのではないでしょうか。
早く亡くなる場合、せっかく繰下げ受給しても総額では少なくなる懸念があるのは事実です。
それどころか、日本年金機構では繰下げ受給の注意点として8項目を挙げています。次章でくわしく見ていきましょう。
執筆者
明治学院大学卒、大手自動車部品メーカーを経て、2017年プルデンシャル生命保険株式会社に入社。6年間、個人・法人営業に携わり卓越した営業成績を残す。2019年には最年少営業管理職として採用や部下の育成に尽力し、社内研修ではパネラーに選抜される。表彰歴多数 。現在は個人向け資産運用のサポート業務に従事。漠然としたお金の相談に対して道を指し示すことを強みとしている。証券外務員1種を保有。
監修者
株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年3月18日更新)